興信所と探偵との違いは?調査項目や料金相場を解説

興信所と探偵との違いは?調査項目や料金相場を解説

パートナーの浮気調査や新たに採用する従業員の素性、結婚を予定している婚約者の借金の有無など、すぐには把握できない情報を得る際に活用されるのが興信所や探偵事務所です。興信所や探偵事務所は、さまざまな調査の依頼に対応しています。パートナーの浮気など、抱えている悩みを興信所や探偵事務所に調査を依頼して解消しましょう。

この記事では、興信所と探偵事務所の違いや依頼した際の料金相場、選ぶ際のポイントなどを解説します。

この記事を読んでわかること
  • 興信所とは?
  • 興信所と探偵事務所の違いは?
  • 興信所の料金や失敗しない選び方とは

興信所とは?

興信所とは?

興信所とは企業や個人の信用情報、所在地、行動などを調査する会社です。ここでは興信所の発祥と歴史、探偵事務所との違いを解説します。

興信所の発祥と歴史

興信所の発祥は明治時代にまで遡ります。日本銀行大阪支店長を務めたこともある外山脩造が、1892年に設立した商業興信所が日本初の興信所です。そして、同年に商工社が設立されます。

商業興信所、商工社ともに銀行グループが出資しているため、当初は企業の信用情報を調査するのが主な業務でした。その後、東京商工リサーチの前身である商工社、1900年には帝国データバンクの前身、帝国興信所が設立され、さまざまな企業の信用情報を調査してきました。その後、結婚調査や採用する従業員の調査なども担うようになりました。

興信所と探偵事務所の違い

興信所と近しい存在として、探偵事務所が挙げられます。探偵事務所も興信所と同じく、個人や企業についての信用情報や所在、行動についての調査を行う会社です。

もともと探偵は江戸時代ごろから、捜査活動をする人に対して用いられていました。その後、1895年になると日本初の私立探偵として岩井三郎事務所が開設されます。同事務所は刑事事件の捜査にも関わっています。

現代においては興信所も探偵も調査する対象や内容に違いはないため、同義として扱われることもあります。実際、興信所も探偵も、探偵業法に則って調査が求められます。

興信所・探偵事務所の主な調査項目

興信所や探偵事務所では主に次のような項目を調査します。

  • 浮気調査
  • 人探し(所在調査)
  • 身辺調査
  • 結婚調査
  • 企業調査
  • ストーカー調査
  • いじめ調査
  • 証拠収集

浮気調査

浮気調査

浮気調査はパートナーの浮気をしているかどうかの調査です。尾行や張り込みを行い、浮気の有無や相手の特定、証拠の収集を行います。確かな証拠を得ることで、慰謝料請求や離婚など次のステップに進みやすくなります。

人探し(所在調査)

人探し(所在調査)も興信所、探偵が依頼を受ける調査です。家出人、失踪者、昔の友人や恩師など、対象者の情報を収集し、所在を特定します。行方が分からない人の調査は警察の業務です。しかし、一般的に警察は事件性がないと捜索を進めません。興信所や探偵であれば、警察が動けないケースでも独自のネットワークを活用して解決に導きます。

身辺調査

特定の人物の経歴や素行、交友関係などの調査が身辺調査です。ビジネス上のパートナーや結婚相手、従業員などの信頼性を確認するために利用されます。リスク管理の一環として重要な役割を果たします。

結婚調査

結婚調査は結婚を前提とした交際相手の背景を調べる調査です。家族構成や職業、資産状況、過去の結婚歴などを確認します。交際相手に別の交際相手がいる、既婚者であるといったケースを見破ることもできるため、結婚相手に騙されることなく、安心して結婚生活を始めるための情報収集として活用されています。

企業調査

企業調査

企業調査とは企業活動に関連する次のような情報を集める調査です。

  • 取引先や競合他社の信用調査
  • 風評被害の実態調査

企業調査によってさまざまなデータを得ることで、市場分析や経営戦略を立案しやすくなります。

ストーカー調査

興信所や探偵事務所はストーカーに悩んでいる人に向けた調査も行っています。加害者の特定や行動パターンの把握、証拠の収集を行い、警察への相談や法的手続きのサポートをします。

いじめ調査

学校で発生しているいじめは、部外者である保護者からは実態が把握できません。そのため、興信所や探偵事務所ではいじめ調査として、証拠収集や実態調査を実施しています。いじめ調査は学校に限った話ではありません。職場におけるいじめ調査にも対応しています。

証拠収集

さまざまな証拠を集めることも興信所、探偵事務所が対応している業務です。例えば、契約違反や知的財産の侵害、不正行為など、さまざまなケースに対応します。信頼性の高い証拠を提供することで、依頼者の権利保護につながります。

興信所・探偵事務所に調査を依頼するメリット

興信所や探偵事務所は浮気調査や素行調査、人探しなどに対応しています。これらは自力でも実施できます。例えば浮気調査であれば、パートナーの行動パターンを把握することで、浮気の証拠を集められる可能性があるでしょう。

しかし、自力での調査は証拠を集めるまでに時間がかかる可能性があります。また、自力での調査は調査対象者にバレてしまう恐れもあります。

一方、興信所や探偵事務所に依頼することで次のようなメリットが期待できます。

  • 証拠をスムーズに集められる
  • 調査対象者にバレるリスクが少ない

証拠をスムーズに集められる

証拠をスムーズに集められる

興信所や探偵事務所に各種調査を依頼した場合、スムーズに証拠を集められます。興信所や探偵事務所の調査員は、専門的なスキルを用いて調査を進めます。そのため、自力で調査するよりも短い期間での証拠収集が期待できます

また、興信所、探偵事務所は探偵業法により張り込みや尾行での調査が認められているだけでなく、違法調査に関する知識も豊富なため、法に抵触しない調査によって証拠を集めることが可能です。

調査対象者にバレるリスクが少ない

自力で調査対象者の行動をチェックする場合、相手にバレてしまう恐れがあります。相手にバレてしまうと、それまでの活動が水の泡になってしまいます。

一方、興信所や探偵事務所は調査対象者に顔が知られていないため、調査対象者にバレるリスクは少ないでしょう。また、一般的に複数の調査員で調査をするため、よりバレるリスクを下げられます。

興信所・探偵事務所の料金相場

興信所・探偵事務所の料金相場

興信所や探偵事務所に調査を依頼した場合、一定の費用が発生します。一般的に興信所、探偵事務所に調査を依頼した場合の料金相場は次のとおりです。

  • 浮気調査:10万円~100万円
  • 素行調査:10万円~50万円
  • 人探し・家出調査:3万円~100万円
  • 結婚調査:10万円~100万円

いずれの調査も相場に大きな幅があります。特に人探しや家出調査は3万円から100万円と、90万円以上も差があります。このように差が生まれてしまうのは、ケースによって調査内容が大きく異なるためです。

ここでは浮気調査、人探し・家出調査で料金に差が生まれるケースについて解説します。

浮気調査で料金に差が生まれる要因

浮気調査で料金に差が生まれる要因として以下が挙げられます。

  • パートナーの浮気に対して一定の確証がある
  • パートナーが浮気しているタイミングを予測できる
  • パートナーの浮気相手が誰だか分かる

上記、すべてに該当するのであれば、費用を抑えられます。一方、パートナーの浮気についておおよその予想がつかない場合、探偵が行動パターンを一から調べたり、浮気相手が誰かを調べたりする必要があるため、調査時間と調査料金がかさんでしまいます。

人探し・家出調査で料金に差が生まれる要因

人探し・家出調査で料金に差が生まれる要因は主に次のとおりです。

  • 相手がどこにいるのかある程度の予想がつく
  • 相手との関係が近い(親族など)
  • 自発的に行方をくらませている

相手がどこにいるのかある程度予想がつくのであれば、興信所や探偵事務所は調査を効率的に進められます。一方、どこにいるのかまったく分からないという場合、調査時間と料金が増えてしまうでしょう。

興信所・探偵事務所の料金を抑える方法

興信所や探偵事務所に調査を依頼する際の料金を抑えるのであれば次のような方法を検討しましょう。

  • 複数の事務所に見積もりを依頼する
  • 多くの情報を共有する

複数の事務所に見積もりを依頼する

興信所や探偵事務所による調査料金を抑えるには、複数の事務所に見積もりを依頼するのがポイントです。1社だけに見積もりを依頼した場合、適正な価格かどうかは判断できません。一方、複数の事務所に見積もりを依頼すれば、適切な価格を判断しやすくなります。

複数の事務所に見積もりを依頼する場合、他の事務所に見積もりを取っていることを伝えるのに加えて、同じ条件で見積もりを依頼しましょう。条件が異なってしまっては見積もり金額が異なります。

多くの情報を共有する

興信所や探偵事務所に依頼する際の料金を抑えるのであれば、多くの情報を調査員に共有しましょう。先述のとおり、情報が少ないと調査に時間がかかってしまい、料金もかさんでしまいます。そのため、調査対象者について可能な限り情報を共有することで、スムーズに調査を進められ、費用を抑えられます。

興信所・探偵事務所を選ぶ際のポイント

興信所や探偵事務所に調査を依頼する場合、次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 誇大広告に注意する
  • 標識の掲示を確認する
  • 無料相談で事務所の所在や相談員の対応をチェックする
  • 調査報告書のサンプルを見せてもらう

誇大広告に注意する

誇大広告に注意する

興信所や探偵事務所に調査を依頼する際は、誇大広告に惑わされないことが重要です。興信所、探偵事務所によっては「成功率100%」「業界最安値」「即日解決」など、依頼者からすると魅力的なコピーを掲載しています。しかし、これらの宣伝文句は、実際には誇張されたものである可能性が高く、後から高額な追加料金を請求されるケースもあります。

興信所や探偵事務所は調査の専門家であるため、一般人よりもスピーディに証拠を集められます。ただ、専門家であっても調査内容によっては成功しない可能性もあります。そのため、成功率100%は現実的ではありません。

広告ではなく口コミや実績を確認する

興信所や探偵事務所に調査を依頼するのであれば、広告ではなく口コミや実績を確認しましょう。とくに口コミは実際に利用した依頼者からの意見を把握できるため、どのような対応をするのかを客観的に判断可能です。

一方、実績を確認する際は具体性があるかがポイントです。具体性がある実績であれば、依頼時の流れなどもイメージしやすいでしょう。

標識の掲示を確認する

先述のとおり、興信所や探偵事務所は探偵業法に従って調査を進めます。探偵業法では興信所や探偵事務疎として事業を進めるには、公安委員会への届出が必要です。さらに、営業所やサイトに標識の掲示が義務付けられています。そのため、依頼を予定している興信所や探偵事務所が標識を掲示しているか確認しましょう。

従来、標識ではなく探偵業届出証明書の掲示が義務付けられていました。しかし、探偵業法が改正されたことによって、標識の掲示が義務付けられるようになりました。

標識は内閣府令により様式が定められているものの、興信所や探偵事務所みずからが作成します。そのため、次のような内容が漏れなく記載されているかを確認しましょう。

  • 届出書を提出した公安委員会
  • 届出書の受理番号
  • 届出書を提出した年月日
  • 商号、名称又は氏名
  • 営業所の名称
  • 営業所の所在地
  • 営業所の種別
  • 広告又は宣伝をする場合に使用する名称

行政処分についても確認する

標識掲示の有無だけでなく、行政処分についても確認しておきましょう。執拗なつきまといや不当な金銭の要求などによって、行政処分を下されている興信所、探偵事務所もあります。行政処分を下された興信所や探偵事務所は、各都道府県警察のホームページに事業者名が公表されています。公表される期間は当該処分が行われた日から3年間です。(※1

無料相談で事務所の所在や相談員の対応をチェックする

興信所や探偵事務所に依頼する場合、無料相談を活用するのがおすすめです。多くの興信所、探偵事務所では無料相談サービスを提供しています。無料相談で相談員がどれくらい親身に対応しているかをチェックします。とくにパートナーの浮気調査となると、ストレスがかさんでいる場合も多いでしょう。このような状態でぞんざいに扱われてしまうと、さらにストレスがかかり、精神的な負担となってしまいます。

また、事務所の所在地を把握するためにも無料相談は有効です。事務所を構えていない場合、信頼性の低い興信所や探偵事務所である可能性が高いでしょう。そのため、無料相談によって本当にオフィスを構えているのかを確認することは重要なポイントです。

調査報告書のサンプルを見せてもらう

調査報告書のサンプルを見せてもらう

興信所や探偵事務所は、調査終了後に調査報告書を提出するのが一般的です。調査報告書は浮気を理由にした離婚・慰謝料請求の際に証拠として機能します。

調査報告書の書式には決まりがないため、どのようなかたちで提出するかは興信所、探偵事務所によって異なります。そのため、事前に調査報告書のサンプルを確認させてもらいましょう

調査報告書のなかでも証拠として機能する浮気調査報告書には次のようなポイントがあります。

  • 正確な日時と場所が記載されている
  • 事実だけで構成されている

正確な日時と場所が記載されている

証拠として機能する調査報告書には、正確な日時と場所が記載されています。日時、場所があいまいな場合、虚偽の報告書と判断されてしまい、証拠として認められません。

これは調査報告書に盛り込まれた写真にも当てはまります。写真がブレてしまったことで、場所がどこだか分からない、写っている人物が誰か分からないといったケースでは証拠として機能しません。なお、調査が複数回に及ぶのであれば、時系列で整理しておくことも大切です。

事実だけで構成されている

事実だけで構成されていることも、調査報告書を証拠として機能させるポイントです。興信所や探偵事務所の調査員が主観で見解を記載すると信憑性が下がり、証拠として認められない可能性があります。

一方、具体的な日時と場所や目撃した行為を客観的かつ詳細に記載されている報告書であれば、証拠として機能するでしょう。

興信所や探偵に調査を依頼して悩みを解消しよう

興信所や探偵事務所は起源が異なります。しかし、現代ではどちらも探偵事業法に従って調査を進める存在です。具体的には浮気調査や人探し(所在調査)、身辺調査、結婚調査、企業調査などに対応しています。

興信所や探偵事務所に調査を依頼した場合、一定の費用が必要です。依頼費用を抑えるのであれば、できる限り多くの情報を共有することでスムーズな調査が可能です。

興信所や探偵事務所はいくつもあるため、誇大広告に注意する、標識の掲示を確認する、無料相談で事務所の所在や相談員の対応をチェックするなどのポイントを押さえて、自分にあった興信所、探偵事務所を選びましょう。