運命の相手だと思っていた人が、実は結婚詐欺師だったとわかったらどんな気持ちになるでしょうか?今回は、誰もが陥る可能性がある結婚詐欺について、特徴・手口と流れ・狙われやすい人・具体的な対策まで詳しく解説していきます。
愛している人だからこそ、困っている時は助けてあげたいし、悩んでいる時は支えてあげたい。結婚詐欺はこうした当たり前の気持ちに付けこむ、卑劣な詐欺です。
もし現在自分の付き合っている人について、気になることがある場合は、見たくない事実に目をつぶることなく、この記事を通して結婚詐欺とは何かを知っていきましょう。
- 結婚詐欺とはどんな犯罪なのか?
- 結婚詐欺師の特徴と手口
- 結婚詐欺に遭わない具体的な3つの方法
結婚詐欺とはどんな犯罪なのか?
具体的に結婚詐欺とはどういった犯罪なのでしょうか?
一般的に結婚詐欺とは、本当に結婚する気はないにも関わらず「結婚」を餌に、金品をだまし取ったり、返済する気のない金銭を借りたりし、その後目的が達成されると、被害者の前から姿を消すのが一連の流れです。
この時被害者は、お金をあげたり貸したりしている段階では詐欺だと思っていないため、詐欺師が姿を消してから詐欺が発覚することが多く、被害を受けてしまうと精神的にも金銭的にも大きなダメージを受けてしまいます。
実は結婚詐欺という犯罪は存在しない?
次に結婚詐欺について知っていく前に、実は「結婚詐欺」という罪状は存在しないということを押さえておきましょう。結婚詐欺とは詐欺の一つの方法で、実際に刑事・民事で争う場合は「詐欺罪」に問えるかどうかで判断を行います。(引用:刑法246条法令検索より)それでは結婚詐欺での「詐欺罪」とは、どうなることなのでしょうか?以下の4つの構成要件がそろって初めて「詐欺罪」として罪に問うことができます。
- 欺罔(ぎもう)・・・人をだますために噓をつくこと
- 錯誤(さくご)・・・相手の嘘を信じて誤った認識を持つこと
- 交付行為・・・欺罔によって錯誤を生じさせ、相手が自分の財産を差し出すこと
- 財産移転・・・実際に財産が被害者から加害者や第三者の手に渡ること
上記を具体的に結婚詐欺に当てはめていくと、
- 欺罔→加害者は結婚をするつもりはないのに、
- 錯誤→被害者は結婚してもらえると信じて、
- 交付行為→加害者の嘘を信じ、被害者が自分の財産を差し出し
- 財産転移→実際に、加害者か第三者の口座にお金を振り込む
ということがあれば、結婚詐欺で詐欺として罪に問える可能性がでてきます。ただしこうしたことが実際に起きた場合でも、結婚詐欺を立件するのは非常に難しいのが現実です。
なぜ結婚詐欺は立件が難しいのか?
結婚詐欺について、具体的な構成要件を見ていたところで、それではなぜ「結婚詐欺は立件が難しい」といわれるのでしょうか?
これは詐欺罪で重要なのは、「最初から相手を騙すつもりだったのか?」という点が重視されるためです。
例えば、結婚を約束した相手にお金を貸して逃げられたとしても、相手が「最初はちゃんと好きになって交際した。結婚する気も当時はあった。でもお金を借りて、返せなくなったので逃げてしまった。」と言ってしまえば、金銭の返還の要求はできたとしても、「最初からだます気はなかった(欺罔ではない)」という主張を崩すことが難しく、この部分の主張を崩せなければ詐欺罪での立件は難しくなってしまうのです。
また詐欺師自身も、基本的にどんな証拠を残すとまずいのか?どんな証言をすれば逃げられるのか?といったことを身に着けている場合も多く、人間の心の中を見て確かめることはできないため、結婚詐欺は立件しにくい詐欺といわれてしまうのです。
こうして実際に結婚詐欺という犯罪について詳しく知っていくと、結婚詐欺がどれだけ卑劣でずるい犯罪かということがよくわかります。
結婚詐欺師に共通する特徴とは
結婚詐欺は立件が難しく、また表面化しにくいことが分かったところで、次は実際に結婚詐欺師にはどんな共通する特徴があるのかを知っておきましょう。結婚詐欺は男女ともに、陥ってしまう詐欺ではありますが、ここでは女性被害者と男性詐欺師の設定で特徴を紹介していきます。
ハイスペックで理想的
まず結婚詐欺師の大きな特徴の一つが、誰もが思い描くような理想の相手であるという点です。例えば、
- ルックスがとてもよい
- 身長が高い
- 高学歴
- 高収入
- 性格が温和で優しい
- 気配りができる
など、出会った女性に「これ以上に素敵な人なんていないんじゃないか?」と思わせるぐらいの魅力を持っています。
また婚活パーティーや婚活アプリなどで、行き当たりばったりで出会ったのではなく、最初から何らかの名簿などで特定の人物をターゲットとして近づいてきている場合は、そうした理想的な面だけでなく、「趣味がばっちり合う」「興味を持つことが同じ」など、つい誰もが運命を感じてしまうような場面を演出することもあります。
とにかく褒める・口がうまい
次に結婚詐欺師の大きな特徴として、とても口がうまいというのが挙げられます。
例えば髪の毛を少し切っただけでも「似合っているね」「雰囲気が変わって可愛くなったね」など、普通であれば少しためらってしまうようなセリフでも、すらすらと滑らかに口から飛び出してきます。
特に今までの恋愛で、褒められることが少なかった場合は、こうした小さな変化に気づいてくれることや、その変化を口に出して褒めてもらうことに免疫が少なく、結果的に相手への好意が加速することになります。
金払いがよい
結婚詐欺師は最終的には金銭をだまし取るのが目的ですが、多くの詐欺師は付き合う前や付き合っている段階では、金払いが非常に良いことが一般的です。
これは例えば実際に金銭をだまし取る段階になった場合、「これから働いてちゃんと返すから」「資産を売却してすぐに返済するから」など、金銭の返金に対して真実味を持たせるためです。
またこれ以外にも、男女平等が叫ばれている現在ですが、やはり女性としては男性がスマートに支払いを行ってくれることは魅力の一つとなるからです。
関係性がある人を紹介してくれない
結婚詐欺師の次によくある特徴が、個人情報を極力出さないということです。
例えば結婚の話が進むのであれば、多くの場合両家の両親にあいさつに行ったり、友人などに紹介されるなど何かしらの繋がりが見えますが、結婚詐欺師の場合はこうした繋がりが全く見えないことが多々あります。
例えば両親へのあいさつについては、
「小さいころに両親は他界していて、現在は天涯孤独なんだ」「友人たちとは、仕事を機に地元から離れているから交流はないんだ」など、最もらしい理由をつけて関係者に会わせることをしません。
証拠を残さない
最後に結婚詐欺師の大きな特徴の一つに、証拠になるようなものを嫌がる傾向があります。
例えば写真でも「一緒に撮ろう!」と誘っても「写真は苦手だから、僕が撮ってあげるよ」などとうまくかわしてしまうことがあります。この他にも免許書・保険証・パスポート・マイナンバーカードについても厳重に管理していたり、気軽に触れることができる場所に置いていないこともあります。
また金銭の授受を行った場合でも、借用書やそれに該当するものについて「俺が信用できないの?」「絶対にすぐ返すから」などということで制作を拒むことがあります。
結婚詐欺師は基本的に1度の詐欺ではなく、何度も同じ詐欺を繰り返して生計を立てているため、こうした証拠が残り、犯行を重ねていることがばれることが最も詐欺師の恐れていることだからです。
こうして実際に結婚詐欺師の特徴を見ていくと、絵本から飛び出してきたように自分の理想にぴったりの相手で、またその相手が惜しみなく愛を囁いてくれるなど、好きになってしまうのが仕方がないということがよくわかります。
またその反面、個人情報の開示を嫌がったり、関係性が見えないなどささやかな部分での違和感を、見逃さないことも結婚詐欺師を見抜くのには必要だということがわかります。
結婚詐欺の具体的な手口と流れ
ここまで結婚詐欺について立件するための方法や、実際の結婚詐欺師の特徴を知ったところで、次は結婚詐欺についての代表的な手口と流れを知っておきましょう。
好意がある振りをして近づいてくる
まず最もポピュラーな出会いは、婚活サイトや婚活パーティーで、「理想の結婚相手」としてあなたの前に現れます。
例えば、ルックスがよく、雰囲気が優し気で、誰もが知る一流の会社に就職しており、どの点を見ても非の打ち所がない。そういった女性の理想像のような相手が、あなた自身に好意を抱いているといった仕草を見せるのです。
そうすると、「理想の相手を逃したくない!」という気持ちから、普段であればもう少し考えてお付き合いを始めるところ、すぐに恋人関係になってしまいます。
恋人関係になったら結婚を意識させる
相手はうまく恋人関係になったことで、次のステップに進みます。ただしこのステップに進む前に、まずはあなた自身を虜にしなければならないため、回数を重ねるデートなどでは、金払いがよく、また素敵なお店を知っており女性を喜ばせるツボを押さえた振る舞いをとります。
こうしてあなた自身のツボを押さえたデートを重ねることで、相手に対して「自分の結婚する相手は、この人しかいない」「自分の幸せには、この人と共にいることが欠かせない」といった感情を抱かせることで、自分に依存させるようにします。
そしてこの依存が十分に済んだところで、相手の一番の希望である結婚をちらつかせるのです。
例えば、デートのたびに「僕たちが結婚したら、子どもは2人は欲しいね」「結婚したら、あそこに家を建てよう」など、具体的なことをいうことで、相手に2人で過ごす未来を具体的に想像させるのです。ただこの時多くの詐欺師は、実際に婚約指輪を渡すなど、結婚の約束となる証拠になるものを残しません。
いよいよお金の話を出す
自分にしっかり依存させ、また結婚というゴールをちらつかせたら、いよいよお金の回収が始まります。多くの結婚詐欺の場合、以下のような理由でお金を回収していきます。
- 会社が不渡りを起こして危ない
- 二人の資産を増やすため不動産投資しよう
- 節税になるからこの不動産を買おう
- 父が大病をして大金がいる
- 交通事故を起こしてしまい、相手から賠償金を請求されている
- 詐欺にあってしまい、今すぐお金が必要になった
またこのお金の回収段階に入ると、今までは優しく自分の理想的だった相手が、次第に冷たくなったり、そっけなくなるという態度の変化を起こします。
こういった変化の中で、お金の催促を受けると「もし断ったら、今よりもっとそっけなくなってしまうかもしれない」「助けなければ、嫌われてしまうかもしれない」という、相手を失う恐怖から「これは何かおかしいのでは…?」「もしかしたら詐欺なのでは?」と考える余裕がなくなり、結果的に金銭を渡してしまうことになります。
限界までお金を引き出す
1度でも相手の嘘を信じ、金銭を渡してしまったら、渡した直後は出会った当時のように優しく接してくれます。
またこの時、「必ず返すから」「これが片付いたら結婚してほしい」など安心させる言葉を紡ぐことで、騙される側はさらに相手に対して強い執着を持つことになります。
しかし基本的に1度お金を渡してしまったら、1回で終わることは少なく、また同じような理由で、あなた自身の限界まで金銭を引き出そうとします。
この時何度もお金を請求されると、おかしいと感じないのか?という疑問が残りますが、人間の心理的行動の一つとして「損失回避」という心理があります。
これは人間の行動原理の一つで、人は得をするよりも損を回避しようとする心理が働くというものです。結婚詐欺の場合は、お金を渡していることですでに損をしているため、損失を回避するためには相手と結婚するしかありません。このため、結婚できないかもしれないという最大の損失を回避するために、相手から嫌われないようにお金を払い続けてしまうのです。
相手の前からいなくなる
いくら相手との結婚をしたいからといって、お金は無尽蔵にあるわけではありません。
このため結婚詐欺師は、限界までお金を引っ張ったと思ったら、ある日突然姿を消します。
携帯や住んでいる場所、紹介された友人などどこを探しても見つからない状態になり、この時初めて結婚詐欺にあってしまったと気づくことになります。
このように結婚詐欺の具体的な手口を見ていくと、だれもが憧れる素敵な出会い方や、ふるまいによって虜にした後、うまく人間の心理をついてお金をだまし取る手口は、だれにでも引っかかる可能性があることがわかります。
結婚詐欺に遭いやすい女性の特徴とは?
ここからは、結婚詐欺に遭いやすい女性の具体的な特徴を見ていきましょう。
結婚に対して焦りを持っている
結婚に対して不安や焦りを持っていると、結婚詐欺に遭いやすくなってしまいます。
これは本人自体が、結婚に対して大きな焦りを持っているため、自分の前に運命の人が現れたと感じた際に、より盲目的になってしまいやすいからです。
この場合相手に対して、お金を貸してほしいなど普通の状態であれば怪しむことを、「結婚するならこの人しかいない」「この人を逃したら結婚できないかもしれない」とい焦る気持ちが働き、結果として不都合なことが頭に入ってこなくなるのです。
結婚相手に高い理想を持っている
「結婚するなら年収は800万以上の人がいい」「結婚するんだから、見た目も友人に自慢できるくらいカッコいい人じゃなきゃいやだ」
こんな風に結婚相手に対して高い理想を持っていると、当然なかなかその理想に該当する人がいないため、結果的に結婚詐欺に遭いやすくなります。
特に自分の持っている結婚相手の理想像について「そんなに難しいことを言ってはいない」「常識的な範囲である」など、自分の理想と一般的な解釈がずれている人だと、「やっと自分のお眼鏡にかなう人が現れた」と感じ、あまりに相手の状況が自分に都合よすぎると感じることなく、受け入れてしまいやすくなります。
経済的な余裕がある
これは結婚詐欺師に騙されやすいというのではなく、ターゲットにされやすい特徴です。
結婚詐欺師の目的は、金銭をだまし取ることのため当然1回の仕事で多くの金銭を巻き上げることができた方が効率がよくなります。
このため医者同士の婚活パーティーや、社長同士の婚活パーティーなど、ある程度のステータスとお金を持っている人はターゲットとして選ばれやすくなってしまうのです。
恋愛経験が乏しい
過去の恋愛経験が乏しい女性も、結婚詐欺の被害にあいやすくなります。
これは、比較できる異性が少ないため、少しおかしなことが起こっても「これはやりすぎなんじゃないか?」「こんなことを頼んでくるなんて、普通じゃないのではないか?」と思っても、他と比べる明確な基準を持たないため、結果的に相手の口車に乗せられてしまいやすいからです。
またこれだけでなく、恋愛経験が乏しいと自覚がある場合は「この出会いを逃したら、もう自分には結婚の機会は訪れないかもしれない」「これが最後のチャンスなんじゃないか?」など激しく相手に依存してしまいやすくなり、結果的に金銭の要求などにあっても、相手を失うことを恐れて支払いをおこなってしまうのです。
結婚詐欺にあいやすい女性の特徴を見ていくと、結婚への焦り・自信のなさ・高い理想など、その人の弱みにうまくつけ込むことで、相手を依存させ盲目的に詐欺師を信じさせるようにコントロールしやすい人が選ばれていることがわかります。
またどの場合でも、多くの女性は「自分がまさか詐欺にあうなんて…」と感じる人が多いため、まずは自分がこの特徴に該当しないかをしっかり確認していきましょう。
結婚詐欺に遭わないための具体的な3つの方法
それでは、実際に結婚詐欺に遭わないために、私たちができることはないのでしょうか?
最初の段階で舞い上がりすぎない
恋人探しや婚活をしている段階で、自分の理想の相手に巡り合えたなら誰でもテンションが上がってしまうものです。ただしだからこそ、この時点で一度冷静になっておきましょう。
自分自身を振り返って、この人が自分に魅力を感じてくれる部分はどこなのだろうか?話がうまくいきすぎていないだろうか?舞い上がる気持ちを少し抑え、自分自身と相手を客観的にみる機会を作りましょう。
相手の情報を詳しく聞いてみる
次に交際が進むにつれて、相手の詳しい情報をしっかり把握するように努めましょう。
- 実際に働いている会社はどこか?
- 両親はどこに住んでいるのか?
- 免許書や社員証は確認できるか?
- 名刺をもらうことができたか?
- 自宅に呼んでもらえたか?
- 友人に会わせてもらえたか?
- ツーショットの写真を撮らせてくれるか?
この中で、名刺を見せてくれなかったり、自宅を教えてくれなかったり、二人の写真を撮りたがらないなど、複数の項目が該当する場合は、何か変ではないか?と今の状況を冷静に見るように努めてみましょう。
金銭を要求してきた段階で、すぐには渡さない
結婚詐欺に遭わない最も大切な対処法が、金銭の要求をしてきた段階ですぐに支払いを行わないことです。
例えば、病気の医療費が本当にいるとしても、それであれば支払い前に実際にお見舞いに行きたい。節税や資産のために不動産投資を勧められた場合は、第三者からの査定を聞く、もしこうしたことが難しいなら、家族や友人に現在までの経緯を話すなど、あなた以外の人に現在の状況を冷静にジャッジしてもらいましょう。
また相手から「どうしても今すぐ貸してほしい。絶対に返すから」と言われ押し切られそうになった場合は、きちんと借用書を作るために弁護士に相談したいなどといい、もし本当に返す気がある場合は嫌がるはずのない提案をしてみましょう。
まとめ
結婚詐欺は、相手の「結婚したい」という純粋な気持ちにつけ込む卑劣な詐欺です。
また実際には被害に遭ったとしても、被害自体を人に言いづらく、「詐欺罪」として立件することも難しいため、被害に遭わないようにすることが重要となります。
結婚詐欺は、結婚願望を持つ人ならだれでも引っかかってしまう可能性がある詐欺なので、もし現在の交際相手について不信感を抱くことがある場合は、上記の結婚詐欺に遭わない具体的な方法を試すだけでなく、探偵事務所などのプロに身辺調査を依頼するなど、自分の中の疑念を放置しないことが大切です。