近年は家族葬が増えているため、告別式に参列しない人もいます。また、どこにお墓があるのか把握できていない人もいるでしょう。お参りをしたいのにお墓がわからないという場合は、遺族に尋ねるなどしてお墓を探し出しましょう。
自力でお墓を探すのが難しい場合、探偵を活用するのもおすすめです。
この記事では故人のお墓の探し方や探偵に調査を依頼する際の相場などを解説します。
- 個人でできる人探し方法
- 自力で探すメリットとデメリット
- お墓探しの難易度が高い4つの理由
家族・親戚のお墓の探し方2選
家族や親族のお墓がどこにあるのか分からないといった場合、次のような方法で探し出しましょう。
- 連絡可能な親族から情報収集する
- 除籍謄本を辿る
連絡可能な親族から情報収集する
まずは連絡が取れる親族や知人に相談してみましょう。年配の親戚や家族のなかには、お墓の場所や管理者、墓地の名前など詳細な情報を知っている方がいる可能性があります。電話やメールだけでなく、直接会って話を聞くことで、思い出話やエピソードから新たな情報が得られることもあります。
さらに、親族が集まる機会を設けることで、情報共有が促進されます。法事やお盆などの行事を利用して、家族全体で情報を整理するのも有効です。SNSや家族間の連絡ツールを活用して、遠方に住む親族とも情報交換を行いましょう。
除籍謄本を辿る
親族から情報が得られない場合やより詳しい情報を知りたい場合は、役所で除籍謄本を取得してお墓を探す方法があります。除籍謄本とは、戸籍から除かれた人々の記録であり、故人の本籍地や家族関係、死亡日時などが詳しく記載されています。本籍地の市区町村役場に申請し、必要な手続きを経ることで入手可能です。ただし、取得には申請者の身分証明や関係性を証明する書類が必要となります。
除籍謄本の情報を手がかりに、故人が埋葬されている墓地や寺院を特定することができます。また、寺院や墓地に直接問い合わせる際にも、詳細な情報があるとスムーズに対応してもらえます。
友人・知人のお墓の探し方3選
亡くなってしまった友人のお墓がどこにあるのか分からないといったケースでは、次のような方法で探してみましょう。
- 遺族に連絡をとってみる
- 共通の友人・知人に聞いてみる
- お寺・霊園管理者に聞き込みをする
遺族に連絡をとってみる
友人のお墓を探す際に最も有力な方法が、遺族に連絡をとることです。例えば、友人の実家がわかる場合、実際に連絡を取って直接お墓の場所を尋ねるとよいでしょう。自宅の場所がわからない場合は、共通の知人のなかに連絡先や自宅の住所を知っている人がいないか確認しましょう。遺族に連絡する際は故人とどのような関係性なのか、故人のお墓になぜ行きたいのかなどを伝えましょう。
共通の友人・知人に聞いてみる
遺族の連絡先が分からないのであれば、ほかの友人に連絡を取るのもおすすめです。お葬式に出席していたりお墓参りをしたりしている友人であれば、お墓の場所を知っていて、教えてもらえる可能性が高いでしょう。
また、お墓の場所はわからなくても、親族の居場所や連絡先を知っている可能性があります。親族の居場所や連絡先から遺族につなげることができれば、お墓の場所を特定できる可能性も高くなります。
お寺・霊園管理者に聞き込みをする
埋葬されている地域に心当たりがある場合は、近隣のお寺や霊園の管理者に直接問い合わせるといった方法もあります。
しかし、個人情報保護の意識が高まっている現在では、家族や親族以外に対しての情報開示についてはどのお寺や霊園も慎重になっています。そのため、問い合わせをしてもはっきりとした回答がもらえない可能性が高いでしょう。また、お寺や霊園の多い地域では、こうしたしらみつぶしの捜索は時間と労力がかかります。
故人のお墓探しの難易度が高い4つの理由
故人のお墓探しが難しいとされる理由は主に次のとおりです。
- お墓の場所も個人情報のひとつ
- 縁もゆかりもない土地にお墓があるケースも多い
- そもそもお墓がない場合もある
- お寺・霊園回りなどで手間と時間がかかる
お墓の場所も個人情報のひとつ
2005年に個人情報保護法が施行されて以降、自治体・企業だけでなく、個人のあいだでも個人情報の取り扱いについての意識が高まっています。個人情報保護法に違反した場合、個人情報保護委員会からの報告徴収・立入検査が実施され、応じなかった場合は刑事罰として50万円以下の罰金が科せられます。(※1)
お墓の場所も住所や電話番号などと同じく個人情報の1つです。共通の友人・知人がお墓の場所を知っていたとしても、個人情報保護の観点から簡単に教えてくれない可能性があります。また、霊園やお寺に尋ねたとしても、お墓の場所を教えてくれない可能性が高いでしょう。
縁もゆかりもない土地にお墓があるケースも多い
故人のお墓を探し出しづらい理由として、お墓が生活圏から離れた場所にあるということが挙げられます。たとえば、生活基盤が変わったためにほかの地域でお墓を持っている場合、故人の住んでいた地域や親族の住んでいる場所とお墓が全く異なるケースが多く見られます。こうした場合、故人が生前どのような経緯で、その土地に埋葬されたのかを特定するのが困難です。
また、縁もゆかりもない土地にお墓がある場合、住民や近隣住民に尋ねても情報を得るのが難しいことが多いです。とくに、長期間放置された墓地や歴史的に使用されていない霊園では、墓石や墓標が朽ち果てていることもあります。このような墓地を見つけるためには、地域の歴史や過去の出来事を調べることが重要ですが、それでも明確な情報を得ることは容易ではありません。
そもそもお墓がない場合もある
お墓探しをするうえで、そもそもお参りするお墓がないケースについても把握しておきましょう。たとえば散骨や自宅供養といったケースです。散骨は海や山林に散骨を行うため、そもそも墓地がありません。また、納骨には期限はないため、遺族が自宅に遺骨を置いている場合も墓地がないケースが多いでしょう。
故人の遺骨について引き取り手がない場合は、無縁仏として行政などが葬儀を行い、無縁墓地や無縁塚といった場所で合祀されている可能性があります。
いくらお墓を探してもなかなか見つからないのであれば、お墓がない可能性も疑いましょう。
お寺・霊園回りなどで手間と時間がかかる
お墓がどこにあるかわからない場合、情報を集めながらお寺や霊園を回らなければなりません。故人がどの寺院や霊園に埋葬されているかが不明な場合、地域内の寺院や霊園を一軒一軒訪れる必要があります。しかし、この方法でお墓を探し出すのは、多くの手間や時間がかかってしまうでしょう。
さらに、故人が長年埋葬されている場合、墓地の管理が怠られているケースも考えられます。長い間管理されていないお墓は、墓石が倒れていたり、名前が消えていたりすることもあるでしょう。そのような状態のお墓を見つけるのは非常に難しく、場合によっては専門業者に依頼しなければならないこともあります。
墓探しをするなら探偵への依頼がおすすめ
故人のお墓が見つからないのであれば、探偵事務所に依頼することも可能です。探偵であれば人探しなどで培った技術をもとに、見つからない故人のお墓を特定してくれます。
お墓を探す調査の具体的な費用は?
探偵事務所にお墓の調査を依頼した場合、一定の費用が発生します。事前にどれくらいの費用が必要なのかを確認しておきましょう。
探偵にお墓探しを依頼した際の費用は5万~50万円ほどです。一般的な人探しの費用相場は5万~100万円ほどのため、お墓探しは人探しより安価で済む可能性が高いですが、調査難易度によって費用は変動します。
探偵事務所にお墓の調査を依頼する場合、費用だけでなくプランも把握しておきましょう。一般的に探偵事務所は次のようなプランを用意しています。
- 時間料金型:調査する時間に応じて料金が変動する
- パック料金型:期間・経費・機器使用料などがパックになっている
- 成功報酬型:成功した場合にだけ発生する
どの料金プランであっても費用を抑えるためには、多くの情報を提供することがポイントです。多くの情報を共有することで調査にかかる時間・費用を抑えられます。
時間料金型のメリット・デメリット
時間料金型は、調査時間に応じて料金が計算されるシンプルな料金体系です。時間料金型の最大のメリットは、費用の透明性が高いことです。調査時間が明確であれば、事前に正確な予算を立てることができます。
また、短期間で結果が出る調査に適しており、費用を抑えられる可能性があります。さらに、調査の進行状況に応じて依頼内容を柔軟に変更できる点も魅力です。
一方、調査が長引くと費用が予想以上に高額になるリスクがあります。特に、調査対象の行動が予測困難な場合や、情報収集に時間がかかる場合は注意が必要です。また、調査時間に対して料金が発生するため、結果が得られなくても費用がかかってしまう点もデメリットと言えます。
パック料金型のメリット・デメリット
パック料金型は、一定の調査内容をセットにして固定料金で提供するプランです。このプランのメリットは、事前に総額が決まっているため予算管理が容易であることです。追加料金の心配が少なく、費用面での不安を軽減できます。また、必要な調査項目が一通り含まれているため、サービスの抜け漏れがなく安心です。複数のサービスを個別に依頼するよりも、コストパフォーマンスが高い場合もあります。
対して、必要のないサービスまで含まれている場合があり、その分費用が割高になる可能性があります。また、パック内容が固定されているため、調査の途中で依頼内容を変更したい場合に柔軟に対応できないことがあります。短期間や小規模な調査には不向きな場合もあるでしょう。
成功報酬型のメリット・デメリット
成功報酬型の最大のメリットは、調査が成功しなければ報酬を支払う必要がないため、依頼者のリスクが低いことです。また、探偵側も報酬を得るために全力で調査に取り組むため、成果が出やすい傾向にあります。結果に対する費用対効果が高いと言えるでしょう。
一方、基本料金や着手金が別途発生する場合があり、完全に費用がかからないわけではありません。また、成功の定義が曖昧だと、依頼者と探偵側で結果に対する認識が異なり、トラブルに発展する可能性があります。さらに、成功した場合の報酬が高額になるケースもあるため、最終的な費用が予想以上になることもあります。
どのプランが適しているかはケースによって異なる
どのプランを選択するかはケースによって異なります。短期間で結果が出る可能性が高い調査や、調査内容に明確で柔軟な対応を求める場合は時間料金型が適しています。例えば、特定の日や時間帯に限定した調査などが該当します。
一方、パック料金型が適しているケースは明朗な予算を希望する場合です。パック料金であればどのような費用がかかるのかがあらかじめ把握できます。
お墓がどこにあるのか確実に把握できてから費用を支払いたいという場合、成功報酬型を提供してる探偵がおすすめです。
【お墓が見つかったら】お墓参りをする際のマナー
故人のお墓を探す際は、お墓参りに必要な一般的なマナーを押さえておきましょう。お墓参りに必要なマナーは次のとおりです。
- 身内に連絡がつく場合は、お参り前に一言連絡を
- お供え物などを墓地に置いていかない
- お参りするタイミングに決まりはない
- 服装について特に決まりはない
身内に連絡がつく場合は、お参り前に一言連絡を
親族の連絡先が分かる場合は、お墓参りをすることを事前に伝えておきましょう。お墓は大切な人が安らかに眠る場所です。親族によっては、見知らぬ人物がお参りしていることについて不安に思う方もいるでしょう。
連絡先を知っているのなら、お参り前に一言ご挨拶することで親族の方を不安にさせたり、変に誤解されたりするのを防ぐことができます。
お供え物などを墓地に置いていかない
お墓参りに行ったら、お供え物などを墓地には置いていかないようにしましょう。生花を墓地にそのままにするのは問題ありませんが、お供え物を放置しているとカラスやタヌキといった動物に荒らされたり、腐ってしまったりと、お墓が汚れてしまう原因になります。
故人の好物だからといって置いていくのではなく、しっかりと持ち帰りましょう。
お参りするタイミングに決まりはない
人によってはお墓参りするタイミングがわからないという可能性があります。一般的にお墓参りはどのタイミングで行っても構いません。
主なお参りの目安としては「命日(祥月命日)」「月命日」「お盆」「お彼岸」があります。しかし故人に冥福を祈るという点では、どの日に行ったとしても問題ありません。日付については、そこまで格式ばったことを考える必要はないでしょう。
お墓参りに決まったタイミングはありませんが、自分の都合ばかり考えてはいけません。お盆やお彼岸など、慌ただしいことが予想される時期は遺族の負担が増加しかねません。そのような時期は訪問を控えるなど、遺族に対する気遣いを忘れないことが大切です。
服装について特に決まりはない
お通夜や告別式と異なり、お墓参りの際の服装について特に決まりはありません。しかし派手な色や露出の多い服などは適さないとされています。
また、霊園の敷地内は砂利などが敷き詰められている場合も多いため、サンダルやヒールといった歩きにくい靴に関しても控えたほうがよいでしょう。
お墓参りではほかの参拝者に会ったり、親族に会うことも考えられます。親族らに会うことへの配慮からも、できれば控えめな服装を心がけたいところです。
故人のお墓は自分で捜索できる
故人のお墓がどこにあるのかわからないといった場合、自力で捜索可能です。墓地がわかるのであれば、墓碑銘や墓誌、卒塔婆から誰のお墓であるのかを把握できます。墓地がわからないのであれば聞き込みや戸籍謄本や除籍謄本などによって調査可能です。
しかし、自分で調査する場合、お墓を見つけ出すまでに時間がかかってしまいます。そのため、探偵に調査を依頼しましょう。探偵であれば聞き込みなどに加えて、独自の情報網を活用します。
探偵にお墓の場所を調査してもらったら、服装などのマナーに配慮してお墓参りをしましょう。なお、探偵に依頼した場合は調査費用がかかるため、事前にどれだけの費用が必要なのかの確認が欠かせません。