浮気調査費用を相手に請求できる条件や金額、方法を解説

浮気調査の費用は高額です。このため「相手が浮気したせいで浮気調査費用がかかったのだから、相手に請求できないだろうか?」と考える方が少なくありません。

実際に浮気調査の費用を相手に請求できるケースはあります。ただしすべての事例で調査費用が認められるわけではありません。

今回は浮気調査の費用を相手に請求できる条件や認められる金額、請求方法を解説します。配偶者に浮気されてお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

この記事を読んでわかること
  • 浮気調査費用を相手に請求できる条件
  • 浮気調査費用が認められる場合の金額
  • 浮気調査費用を請求するための2つの方法

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  1. 浮気調査費用を相手に請求できる条件
  2. 浮気調査費用が認められる場合の金額
  3. 浮気調査費用が認められた裁判例
  4. 浮気調査費用を請求する2つの方法
  5. 浮気調査費用の相場
  6. 浮気調査費用を抑えるためのポイント
  7. まとめ
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浮気調査費用を相手に請求できる条件

浮気調査費用は高額で、ときには100万円を超えるケースも存在します。浮気された上に調査費用までかかってしまったら、こちらにとって損害が大きくなってしまいます。

浮気調査費用も場合によっては相手に請求できる可能性があるため、どういった条件を満たせば請求できるのかみていきましょう。

浮気を明らかにするために調査が必要だった「因果関係」

裁判で浮気調査費用が認められるには「浮気調査費用の発生と浮気との間の因果関係」が必要です。

つまり「浮気されたから、浮気調査費用が必要になった」「浮気を証明するために、どうしても浮気調査が必要だった」という条件を満たさねばなりません。

「浮気調査をしなくても浮気を証明できたケース」では、浮気調査費用が認められにくいので注意が必要です。

浮気調査費用が認められるかどうかを判断する要素

浮気調査費用を相手に請求できるかどうか、判断するための考慮要素は以下のようなものです。

相手が浮気を認めていたか

相手に浮気の責任を追及したとき、相手がすでに認めていたら浮気調査の必要性は低いといえます。一方で、相手がかたくなに否定していたら調査によって明らかにする必要性が高まります。

配偶者と別居していたか

配偶者が単身赴任しているなどの事情があり別居していたら、浮気を把握するのが難しくなって浮気調査の必要性が高まります。一方、同居していたら必要性が小さくなり、調査費用の必要性も認められにくくなります。

仕事や家事育児などで忙しかったか

仕事や家事育児など、しなければならないことがたくさんあって忙しい場合には、業者に浮気調査を依頼する必要性が高くなります。一方、仕事もしておらず子どももおらず時間がある場合、浮気調査の必要性は低くなります。

浮気調査より前に浮気が明らかになっていたか

浮気調査によってはじめて浮気が明らかになった場合、調査には大きな意義があったといえます。一方、浮気調査より前から浮気が明らかになっていたら、浮気調査の必要性は低いと考えられます。


上記の4つを踏まえて、認められやすいケースと認められにくいケースをみていきましょう。

浮気調査費用が認められやすいケース

以下のような場合、浮気調査費用が認められやすく相手に請求できる可能性が高くなります。

  • 相手が浮気を頑なに否定している
  • 夫や妻が単身赴任しており、たびたび見に行くこともできず浮気調査をしないと浮気が明らかにならない状況であった
  • 仕事や家事育児などに忙しく、自分で浮気調査する余裕がなかった
  • 浮気調査により、はじめて浮気が明らかになった

浮気調査費用が認められにくいケース

以下のようなケースでは、浮気調査費用は認められにくいといえるでしょう。

  • 相手が浮気を認めていた、浮気を自白していた
  • 配偶者と同居しており浮気の証拠を集めやすい状況であった
  • すでに浮気の証拠をつかんでいたが、確認的に浮気調査を行った
  • 健康で時間も十分にあり、自分で浮気調査しようと思えばできる状況であった

浮気調査費用が認められる場合の金額

相手に対する浮気調査費用が認められる場合でも、全額の請求が認められるとは限りません。これは「相当因果関係のある範囲」に減額されるためです。

つまり裁判所の裁量により、相手に請求できる金額が減らされてしまいます。多くの裁判例では、浮気調査費用が認められてもだいたい10~30万円程度です。

浮気調査に高額な費用を使っても最終的には自腹になってしまう可能性もあるので、「全額払ってもらえる」と過信しないようにしましょう。

浮気調査費用が認められた裁判例

以下では浮気調査費用を認めた裁判例をご紹介します。

10万円の浮気調査費用が認められた裁判例(東京地裁 令和3年2月24日)

配偶者と浮気相手が浮気を認めるかどうか疑問があったため、原告は探偵事務所へ浮気調査を依頼しました。かかった金額は46万4458円です。

裁判所は「浮気調査は浮気を証明するために必要だった」として浮気調査費用の請求を認めました。ただし全額が認められたわけではなく、認容されたのは10万円のみとなっています。

10万円の浮気調査費用が認められた裁判例(東京地裁令和2年12月9日)

原告は、配偶者の携帯電話をみて浮気を疑い、浮気の調査を依頼しました。

携帯の情報からは「浮気の事実」はわかりましたが、「浮気相手が誰か」わからなかった事案です。調査は成功しましたが、78万1101円の調査費用がかかりました。

裁判所は、本件で浮気相手が不明だったことなどから調査の必要性を認め、浮気調査費用の請求を認容しました。ただしすでに浮気の事実を確認できていて「浮気の証明」は不要だったことなどを評価し、78万1101円のうち10万円のみの支払いを認めました。

全額が認められた裁判例(東京地裁令和2年12月17日)

原告が請求した浮気調査費用27万1101円の全額が認められた裁判例です。

原告は配偶者の浮気を疑って探偵事務所へ依頼しました。調査は1日で済み、金額は27万1101円でした。調査の結果、原告は浮気が事実であることを知りました。

そこで裁判所は「浮気調査は原告が浮気を証明するのに不可欠であった」として調査費用の必要性を認め、請求を認めました。

金額としては、本件の浮気調査は1日のみで、金額的にも不相当に高額ではないとして、27万1101円の全額が認められました。

裁判で探偵の浮気調査費用全額が認められるケースは少ないので、この事例はレアといえます。

浮気調査費用を請求する2つの方法

浮気調査費用を相手に請求するには、主に以下の2つの方法があります。

  • 交渉(示談)
  • 訴訟

それぞれの特徴やメリット・デメリットなどをみていきましょう。

交渉(示談)

交渉(示談)とは、浮気相手と直接話し合って浮気調査費用の支払金額や支払い方法を決める請求手段です。多くの場合、浮気慰謝料と浮気の調査費用を一緒に請求して同時に支払いについての話し合いを継続していきます。

たとえば慰謝料が100万円で浮気調査費用が50万円であれば、相手には合計額である150万円を請求します。相手が150万円の支払いを受け入れれば全額の支払いを受けられますし、相手が減額を主張するならこちらでどこまで折り合えるか検討し、妥協点を探らねばなりません。

交渉で浮気調査費用を請求する方法には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット①:相手が認めれば高額な浮気調査費用を払ってもらえる

裁判をすると、浮気調査費用が認められるとしても10~30万円程度に抑えられてしまうケースが多数です。

交渉の場合、相手が支払いに応じるなら全額を払ってもらえる可能性もあります。全額は払われなくても、裁判より高額な金額を負担させることができるケースが多いでしょう。

相手が受け入れれば高額な浮気調査費用を払わせられる点は、話し合いによる解決のメリットといえます。

メリット②:スピーディに解決できる

裁判で慰謝料や浮気調査費用を請求する場合、半年~1年程度かかってしまうのが一般的です。かなりの時間がかかる手続きといえるでしょう。

一方話し合いで解決する場合には、早ければ1か月で解決できる可能性もあります。スピーディに解決できる点も話し合いによる請求方法のメリットといえるでしょう。

メリット③:労力や費用がかからない

裁判で相手に浮気調査費用を請求しようとすると、大変な労力がかかります。

専門的な裁判書面を作成しなければなりませんし、何度も裁判所へ足を運ぶ必要もあります。弁護士に依頼すれば労力は削減できますが、その分弁護士費用がかかってしまい、手取り額が大きく減ってしまう可能性が高まります。

話し合いであれば、さほどの労力がかかりません。自分で対応すれば労力や弁護士費用等のコストも抑えられます。

裁判に比べると大幅に負担が小さくなりやすいメリットがあるといえるでしょう。

メリット④:弁護士に依頼する必要性が低い

浮気の慰謝料請求をするとき「できれば自分で解決したい」と考える方が少なくありません。

ただ訴訟となると、どうしても弁護士の力が必要になります。自分で対応すると極めて不利になってしまうリスクが発生するので、無理に自力で裁判するのはおすすめではありません。

この点話し合いであれば、自分1人の力でも対応しやすいものです。訴訟と異なり弁護士に依頼する必要性が低いことも話し合いによる解決のメリットといえるでしょう。

デメリット①:合意できないと支払いを受けられない

話し合いで解決するためには、両者が合意しなければなりません。

相手が「支払わない」といえば、その時点で示談は決裂してしまいます。相手が支払いに応じる態度を見せていても、金額的に折り合わないケースが多々あります。

合意ができないと支払いを受けられない点は示談のデメリットといえるでしょう。

デメリット②:強制力がない

話し合いで決まった内容については強制力がありません。

合意書を作成しても、差し押さえなどの手続きはできないので相手が支払わなかったらあらためて訴訟を起こす必要があります。

ただし公正証書を作成していたら、相手が約束を破ったときにすぐに給料や預金などを差し押さえられます。

訴訟

訴訟とは、裁判を起こして相手の責任を追及する方法です。

相手が慰謝料や浮気調査費用の支払いに応じない場合でも、訴訟を起こして裁判所が支払い命令を出せば強制的に支払わせることができます。

訴訟で浮気調査費用を請求する方法には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット①:合意ができなくても払わせることができる

訴訟の場合、相手と合意する必要はありません。

判決が出たら、合意ができなくても相手に浮気調査費用を払わせることができます。相手が支払いを拒否していても払ってもらえる点は大きなメリットとなるでしょう。

メリット②:強制執行ができる

示談で解決して合意書を作成しても、当事者同士で作成した合意書に強制執行力はありません。相手の預金や給料などの差し押さえはできないのです。

一方、訴訟で解決した場合には強制執行ができます。

判決がでた場合はもちろんのこと、和解で解決した場合の「和解調書」にも強制力があるので、相手が支払わないときには預金や保険、給料やボーナスなどを差し押さえて取り立てができます。

デメリット①:労力がかかる

訴訟は大変重厚で労力のかかる手続きです。訴状などの専門的な書面を作成しなければなりませんし、何度も裁判所へ行かねばなりません。

裁判所が開いているのは平日の昼間だけなので、仕事をしている人は休まねばならないでしょう。このため、強制力は強いものの大変な労力がかかる点は、裁判の大きなデメリットといえます。

デメリット②:時間がかかる

話し合いと比べると、訴訟は非常に時間のかかる手続きです。

早期に和解が成立しても3か月程度はかかるケースが多いですし、場合によっては1年以上になる可能性もあります。「できるだけ早くトラブルを解決したい」と希望する方には大きなデメリットとなるでしょう。

デメリット③:費用がかかる

訴訟は話し合いと比べて費用のかかる手続きです。

特に弁護士に依頼すると、数十万円もの弁護士費用が発生します。せっかく慰謝料や浮気調査費用の支払い命令が出ても、高額な弁護士費用を払ったら手取り額が減ってしまうでしょう。

裁判所に払う印紙代も馬鹿にはなりませんし、交通費なども発生します。費用がかかる点も裁判のデメリットといえます。

浮気調査費用の相場

浮気調査費用は具体的にいくらくらいかかるのでしょうか?

探偵事務所の費用体系は会社によって大きく異なります。以下では3パターンに分けて浮気調査費用の相場を解説します。

時間制の場合

時間制とは、調査に要した時間によって費用を計算する方法です。1時間2~3万円程度が相場となっています。

調査に失敗した場合でも、通常、返金はありません。

パック料金の場合

パック料金とは、まとまった時間を決めてパック料金を設定している費用体系です。たとえば「10時間で○○円」などとなっています。時間制より割安になるケースが多数です。

相場としては、20時間で40~50万円、30時間で60~70万円、40時間で80~90万円程度です。

パック制の場合にも、調査に失敗しても基本的に返金は受けられませんし、もし調査時間が短くなった場合でも、調査費用の減額はされません。

成功報酬制の場合

浮気調査が成功したときに報酬が発生する費用体系です。

ただし成功報酬金とは別途「着手金」や「経費」を請求される場合があるので「持ち出し0円で依頼できる」とは限りません。

また「何が成功か」という理解が業者によって異なります。「浮気の事実をつかんだら成功」とされている場合、浮気相手を特定できなかったり肝心の証拠を入手できなかったとしても費用を請求される可能性があります。

また成功報酬の金額が200万円など、非常に高額に設定されている場合もあるので、当初契約の際にどういった条件になっているのかしっかり確認しましょう。


どの料金体系がよいかは、「そもそも浮気の事実が確定しているのか?」「浮気をしている可能性が高い日がわかるか?」「どんな場所で浮気をしているか想定できるか?」など、依頼者の状況によって異なります。

多くの探偵事務所では、無料相談を行っているため、自分の状況がわからない場合は数社で見積もりを取り、納得した依頼内容と金額の業者に頼むようにしましょう。

探偵事務所に無料相談をしてみる

浮気調査費用を抑えるためのポイント

浮気調査費用は、必ずしも相手に請求できるものではありません。

請求できるとしても全額を払ってもらえる事例は少数です。この点を踏まえると、できるだけ費用を抑えて確実な証拠を入手するのが得策といえるでしょう。

以下では浮気調査費用を抑えるためのポイントをご紹介します。

相場を知る

まずは浮気調査費用の相場を理解しましょう。相場を知らずに依頼すると、高額な請求をされても気づきません。

情報提供は積極的に行う

探偵が浮気調査するときには、「配偶者がいつどこで浮気相手と会うか」予測しなければなりません。何の手がかりもない状態では、いつどこに張り込みをすれば効果的か判断できないためです。

浮気調査を依頼する際にも、可能な限り探偵事務所へ配偶者や浮気相手についての情報提供をしましょう。「相手方らはこの時間にここで会っている」など根拠をもって伝えられれば、その分早期に成功する可能性が高まって費用を安く抑えられます。

調査に使う機材や人員についてもチェックする

ただし浮気調査費用は、安ければ良いというものでもありません。あまりに安い場合、アルバイトの調査員を使っていたり使用する機材が粗悪だったりして、調査に失敗する可能性も高くなるからです。

時間単価やパック料金が一見安いように見えても、調査方法が粗悪であれば何度も調査が必要になり、結果的に高くついてしまいます。

依頼前に調査に使う機材や調査員、運営者などの人員体制についてもしっかり確認すべきです。精密な機材を使い、法律を守ってベテランの調査員を派遣してくれる探偵事務所であれば、早期に証拠を入手しやすく結果的にコストを抑えやすくなるでしょう。

まとめ

浮気調査費用を相手に請求できるかは、「あなた自身の状態」や「浮気が確定しているか?」など、様々な要素が必要となります。またもし、浮気調査費用が裁判で認められた場合でも、全額請求できるのは実際の判例から見ても非常に稀なケースです。

だからこそ浮気調査費用については、最初から相手に請求することを念頭に置くのではなく、賢くコストを抑え、しっかりとした証拠を確保することを第一としておきましょう。