GPSを使うことで、対象者がどこにいるのか判断できます。相手の位置情報を取得できるGPS機能を用いれば、パートナーが浮気相手と会っているのかなどを判断するきっかけに成り得ます。
しかし、GPSを使った浮気調査はたとえ夫婦間であっても違法性をはらんでいるため注意が必要です。
この記事ではGPSを使った浮気調査の違法性について解説します。
- GPSを使った浮気調査で違法性の高い行為
- GPSを使って合法的に浮気調査をする方法はある?
- 違法性以外で注意すべきGPSを使った浮気調査のリスク
GPSでの浮気調査は夫婦間でも違法行為の可能性あり

GPSでの浮気調査は、夫婦間であっても違法行為に問われかねません。具体的には、GPSによって相手がどこにいるのかを把握する行為はプライバシー侵害に該当する可能性があります。
過去には不倫調査を目的としてGPSを用いたケースに対して、プライバシー侵害にあたると判決が出たことがあります。このケースでは、パートナーの男性の車に無断でGPSを設置し、不倫相手とラブホテルに入っていく様子を写真に収めました。
判決では調査目的は正当であるとされたものの、GPSを用いた手段は違法性があるとされました。
GPSを使った浮気調査で違法性の高い行為
GPSはさまざまな浮気調査で用いられます。GPSを使った浮気調査で違法性の高い行為は次のとおりです。
- 相手に無断で位置情報を取得する
- GPS設置の際に相手の所有物を破損させる
- 相手の住居に無断で立ち入りGPSを設置する
- 相手のスマホに無断でGPSアプリをインストールする
なかにはプライバシーの侵害ではなく刑法に抵触する恐れもあります。
相手に無断で位置情報を取得する

GPSを用いて無断で相手の位置情報を取得する行為は、違法性が高い調査のひとつです。例えばパートナーの車や荷物にGPS発信器を取り付け、無断で位置情報を取得する行為が挙げられます。
相手に無断で位置情報を取得するのはプライバシー侵害だけでなく、ストーカー規制法に抵触しかねません。
従来のストーカー規制法は、つきまといをはじめとしたストーカー行為だけが規制対象でした。しかし、ストーカー規制法が改正されたことによって、GPSなどで相手の位置情報を無断で取得する行為も規制の対象になっています。
ストーカー規制法に抵触した際の罰則は次のとおりです。(※1)
- ストーカー行為をした者:1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
- 禁止命令等に違反してストーカー行為をした者:2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金
- 禁止命令等に違反した者:6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金
相手に無断でGPSを取り付けることもストーカー規制法対象
パートナーに無断でGPSを取り付けることもストーカー規制法の対象です。
ストーカー規制法が改正されたことで禁止されるようになったのは、相手に無断でGPSを用いて位置情報を取得する方法だけではありません。パートナーに無断でGPSを取り付ける行為もストーカー規制法対象です。
そのため、GPSの位置情報を取得しなかったとしても、相手の所有物にGPSを取り付ける行為によって、ストーカ―規制法に抵触しかねません。
GPS設置の際に相手の所有物を破損させる
GPSを設置するために、相手の所有物を破損させる行為も違法行為にあたる可能性が高いでしょう。例えば車にGPSを設置するために、相手の所有物を破損させる行為が挙げられます。GPS設置の際に相手の所有物を破損させる行為は、器物損壊罪に問われかねません。
器物損壊罪が認められてしまうと、罰則として3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が科せられてしまいます。(※2)
器物損壊罪と建造物等損壊罪の違い
器物損壊罪と似た罪に建造物等損壊罪が挙げられます。器物損壊罪は相手の所有物を破損することを指すのに対して、建造物等損壊罪は自宅以外の建物を損壊させた際に適用されます。
例えばパートナーの浮気相手の自宅に無断で盗聴器を仕掛けるといった行為は、建造物等損壊罪に問われかねません。盗聴器を設置するために、室内の壁などに手を加える必要があるためです。
相手の住居に無断で立ち入りGPSを設置する

パートナーの浮気相手の行動を把握しようと、相手の住居に無断で立ち入ってGPSを設置する行為も違法性が高いでしょう。相手の住居に無断に立ち入る行為は住居侵入罪に問われる可能性があります。
住居侵入罪と認められてしまうと、3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金に科せられる可能性があります。(※3)
なお、相手の家の中ではなく敷地内に入ることも住居侵入罪は適用される恐れがあるため、浮気相手の尾行は避けましょう。
建造物侵入罪に問われる可能性がある
パートナーの浮気相手の住居や敷地内に無断で入ると、住居侵入罪に問われる可能性があります。さらに浮気相手の職場を無断で訪ねる行為は、建造物侵入罪に問われかねません。
建造物侵入罪は住居侵入罪と同じく3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金が科せられます。(※3)
また、浮気相手の職場を訪ねて、浮気について告発した場合、プライバシーの侵害や名誉棄損に問われる恐れがあります。
相手のスマホに無断でGPSアプリをインストールする
GPSは専用の発信器だけではありません。スマホにもGPS機能が備わっています。
浮気調査のなかには、パートナーのスマホに無断でGPSアプリをインストールする方法があります。しかし、GPSアプリをパートナーのスマホに無断でインストールする行為は違法行為です。
相手のスマホに無断でGPSアプリをインストールする行為は、不正指令電磁的記録供用罪として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(※4)
相手のスマホのロックを無断で解除すると不正アクセス禁止法に抵触する
相手のスマホに無断でGPSアプリをインストールすることは違法行為です。インストール以前に相手のスマホを無断でロック解除することは不正アクセス禁止法に抵触しかねません。不正アクセス禁止法と認められてしまうと、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(※5)
GPSを使って合法的に浮気調査をする方法はある?

GPSを使った浮気調査のなかには、違法性をともなったものがあります。しかし、GPSを用いる合法的な浮気調査も可能です。例えばパートナーの合意を得ているのであれば、GPSを使って合法的に相手の位置情報を把握できます。また、夫婦の共有財産である車に設置されているカーナビであれば、走行履歴を確認可能です。
しかし、パートナーに合意を得てGPSを設置した場合、相手は浮気相手との密会がバレるような行動はしないでしょう。夫婦財産である車の走行履歴も同様です。相手が走行履歴を見ているということが分かれば、パートナーは履歴を削除してしまうでしょう。そのため、浮気調査の方法として高い効果が期待できません。
違法性以外で注意すべきGPSを使った浮気調査のリスク
GPSを使った浮気調査で注意すべきなのは違法性だけではありません。GPSを用いた浮気調査を実施することで、次のようなリスクにつながる恐れがあります。
- バレたときに夫婦の関係性が悪化する
- GPSの位置情報だけでは決定的な浮気の証拠にならない
どちらも浮気調査に影響を及ぼしかねないため注意しましょう。
バレたときに夫婦の関係性が悪化する

GPSを使った浮気調査は、パートナーにバレたときに関係性悪化が懸念されます。いくら相手が浮気をしているからといっても、パートナーに黙ってGPSを使った浮気調査を実施すると、相手からの信頼を失ってしまうかもしれません。
特にパートナーが浮気をしていなかった場合の影響は大きくなるでしょう。浮気をしていると疑われたことに不快感を覚え、夫婦関係がより悪化しかねません。
GPSを使った浮気調査がバレてしまった場合、夫婦関係の悪化以外にも次のようなリスクがあります。
- 浮気の証拠が取れなくなる
- 訴訟のリスク
浮気の証拠が取れなくなる
浮気調査がバレてしまったら、パートナーはほとぼりが冷めるまで浮気相手と会うのは控えるようになるでしょう。さらに、過去の浮気の証拠も隠滅する恐れがあります。
浮気調査がバレたことで浮気の証拠が消されてしまったら、パートナーの浮気を証明するのが難しくなってしまいます。
訴訟のリスク
訴訟リスクも浮気調査がバレてしまった際のリスクです。GPSによる浮気調査は法的なリスクをはらんだものが数多くあります。
GPSによる浮気調査をしていることがバレてしまったらパートナーが訴訟を検討しかねません。訴訟を起こされてしまった場合、パートナーの浮気を追及するはずであった側が、罪を追及される恐れがあります。
GPSの位置情報だけでは決定的な浮気の証拠にならない
仮に合法的にGPSによってパートナーと浮気相手の位置情報を把握したとしても、決定的な証拠にはなりません。パートナーが浮気しているかどうかの証拠は、行動パターンや浮気相手とのデートの様子だけでは効力が期待できないでしょう。
パートナーの浮気を証明するのであれば、不貞行為(肉体関係)が分かる具体的な証拠を集める必要があります。
決定的な浮気の証拠が欲しいなら探偵への依頼がおすすめ

パートナーの浮気を証明するのであれば、GPSの位置情報ではなく決定的な証拠を集めましょう。浮気の決定的な証拠を代表するのが、ラブホテルに入室する写真のように不貞行為が分かるものです。
しかし、このような不貞行為が分かる証拠を自力で集めるのは難しいでしょう。そのため、浮気の決定的な証拠を集めるのであれば探偵への依頼がおすすめです。
浮気調査依頼で探偵を選ぶ際の注意点
浮気調査に対応している探偵はいくつもあります。そのなかから自分が依頼する探偵をひとつに絞り込むのは難しいでしょう。
探偵を選ぶ際は次のような点に注意するのがおすすめです。
- 誇大広告・キャッチコピーを掲げていないか
- 規則で定められた標識が提示されているか
- 行政処分を受けていないか
- 調査報告書が確認できるか
- 調査費用が明確か
なかには探偵に依頼したことで、別のトラブルに巻き込まれてしまうケースもあるため注意しましょう。
誇大広告・キャッチコピーを掲げていないか
探偵を選ぶ際は、誇大広告やキャッチコピーを掲げていないかを確認しましょう。
例えば探偵のなかには成功率100%といったように実績を掲げているケースがあります。確かにプロの探偵による浮気調査は、個人で行う浮気調査よりも成功率は高いでしょう。
しかし、どんな探偵であっても100%成功するわけではありません。それにも関わらず100%成功といった誇大広告・キャッチコピーを抱えている会社の利用は控えましょう。
探偵の誇大広告、キャッチコピーは成功率だけではありません。なかには料金についての誇大広告、キャッチコピーが掲載されているケースもあります。
例えば完全成功報酬をうたっているのに、着手金が発生するといった不明瞭な料金体系が採用されているケースもあります。不必要な支出を避けるためにも、明確な料金体系を採用している探偵を選びましょう。
規則で定められた標識が提示されているか
探偵として活動するためには、都道府県ごとの公安委員会に探偵業の届出が必要です。届出が完了している探偵の場合、従来は探偵業届出証明書を事務所やホームページに掲載していました。
しかし、2024年4月1日から探偵業届出証明書ではなく標識を掲載するルールに変更になりました。そのため、探偵を選ぶ際は規則で定められた標識を提示しているかをホームページを確認しましょう。
なかには探偵業法の届出を提出せず、探偵業の標識を提示していない探偵もいます。このような探偵は尾行などが認められていません。そのため、依頼してしまうと法律に抵触する恐れがあります。
また、当初は安価で提案されても調査完了後に相場よりも高い明細が提示されかねません。そもそも、適切に調査をせずに終了されてしまうケースも考えられます。
行政処分を受けていないか
依頼を検討している探偵が行政処分を受けていないかを確認しましょう。探偵業法に違反して営業停止や営業廃止の処分を受けているかどうかは、警察もしくは公安委員会のホームページから確認可能です。行政処分を受けると3年間はホームページに掲載されます。
行政処分を受けている探偵は違法な手段による調査、依頼者や調査対象者への恐喝、契約トラブルなどを起こしている可能性があります。行政処分を受けている探偵の場合、トラブルに巻き込まれるリスクがあるため、依頼は避けましょう。
調査報告書が確認できるか

探偵は浮気調査を終えた場合、調査報告書を提出するのが一般的です。調査報告書は慰謝料請求や離婚の際に浮気の証拠として機能します。
しかし、すべての調査報告書が証拠として機能するわけではありません。客観的に記述されている、調査時の様子が時系列でまとめられている、添付の写真が鮮明などの条件が満たされていることが大切です。
調査報告書をいざ証拠として提出した際に、効力がなければ意味がありません。そのため、事前に調査報告書を確認させてもらいましょう。どのような調査報告書を提出するのかサンプルを確認することが大切です。
調査費用が明確か
探偵に浮気調査を依頼した場合、当然調査費用がかかります。調査費用は探偵によって異なります。いずれの探偵に依頼する場合であっても、明確な調査費用を提示してくれるかどうかをチェックしましょう。
探偵のなかには、相談内容に応じて見積りを提案してくれるケースもあれば、追加料金が発生した場合の費用を説明してくれるケースもあります。
一方、曖昧な料金体系では、調査が長引いた際などに想定外の追加費用が発生しかねません。無料の相談窓口を設けている探偵であれば、依頼前に費用について相談することも可能です。
GPSを使った浮気調査のリスクを把握しておこう
夫婦であってもGPSを使った浮気調査は違法性があります。過去にはGPSを使った浮気調査に対してプライバシーの侵害と判決が出たケースもあります。他にもGSPをパートナーの車に無断で取り付ける、GPSを取り付けるために浮気相手の家に侵入するといった行為は法律に抵触しかねません。
また、GPSを使った位置情報だけではパートナーの浮気調査の証拠にはなりづらいでしょう。そのため、探偵に依頼して不貞行為を決定づける証拠を集めましょう。
探偵に依頼する際は、誇大広告・キャッチコピーを掲げていないか、規則で定められた標識が提示されているかなどをチェックすることが大切です。