浮気調査でボイスレコーダーを使うのは違法?リスクや有効な証拠などを解説

浮気調査でボイスレコーダーを使うのは違法?リスクや有効な証拠などを解説

パートナーの浮気調査を自分で進めようとした場合、ボイスレコーダーの使用を考える人もいるでしょう。最近では、相手に気づかれずに録音できる小型タイプのものも入手しやすくなっています。

しかし、ボイスレコーダーを使った浮気調査には注意が必要です。ボイスレコーダーで会話を録画すること自体は違法ではありませんが、録音する際に付随する行為によって法律に問われる可能性があるからです。

この記事ではボイスレコーダーを使った浮気調査の違法性やバレた際のリスクなどを解説します。

この記事を読んでわかること
  • ボイスレコーダーでの浮気調査で違法性の高い行為
  • ボイスレコーダーでの浮気調査が相手にバレたときのリスク
  • ボイスレコーダーで入手した浮気の証拠の効力

ボイスレコーダーを使った浮気調査の違法性

ボイスレコーダーを使った浮気調査の違法性

ボイスレコーダーを使った浮気調査を検討しているのであれば、違法性について理解しておくことが大切です。以下で詳しく説明します。

録音すること自体は違法ではない

ボイスレコーダーでパートナーと浮気相手の会話を録音すること自体は違法ではないと判断されるのが一般的です。そのため、ボイスレコーダーを使った浮気調査自体が不可能というわけではありません。

盗聴に付随する行為で罪に問われる可能性がある

ボイスレコーダーでパートナーと浮気相手の会話などを録音すること自体は違法ではありません。しかし、ボイスレコーダーを設置するまでの行為や録音したデータの扱い方などを間違えると、盗聴に付随する行為として罪に問われる可能性があります。

盗聴に付随する行為とは、盗聴のために行った行為です。たとえ盗聴による違法性が認められなくても、盗聴による付随行為によって違法と判断される恐れがあります。

ボイスレコーダーでの浮気調査で違法性の高い行為

ボイスレコーダーで浮気調査を実施した場合、盗聴に付随する行為として以下が挙げられます。

  • 設置の際に相手の所有物を壊す
  • 設置するために相手の住居に侵入する
  • 録音データを漏洩する
  • 相手の私物にボイスレコーダーを仕込む
  • プライバシーの侵害にも注意が必要

録音のための上記のような行為は、盗聴の付随行為として違法性が指摘されかねません

設置の際に相手の所有物を壊す

設置の際に相手の所有物を壊す

ボイスレコーダーを設置するために相手の所有物を壊す行為は、違法性が問われかねません。例えばボイスレコーダーを隠すために家具の一部を壊すといった行為は、器物損壊罪が疑われる可能性があるでしょう。

器物損壊罪と認められた場合、罰則として3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまいます。(※1)

同様に、設置するために住宅のドアを壊したといった行為も器物損壊罪に問われる可能性があるでしょう。

設置するために相手の住居に侵入する

ボイスレコーダーを設置するためにパートナーの浮気相手の住居に侵入した場合、住居侵入罪に問われる恐れがあります。住居侵入罪は3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金が罰則として設けられています。(※2

上述のように住居侵入にあたり、ドアを壊す、窓ガラスを割るといった行為をすると、器物損壊罪にも問われてしまうでしょう。

録音データを漏洩する

録音データを漏洩する

録音したデータを漏洩させた場合、名誉毀損に問われる可能性があります。名誉毀損に問われると、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(※3

また、録音データを漏洩させて相手を脅迫するといった行為に及んだ場合、脅迫罪が疑われます。脅迫罪の罰則は2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑です。(※4

相手の私物にボイスレコーダーを仕込む

ボイスレコーダーを相手の私物に仕込む行為も、プライバシーの観点から違法性を問われる可能性があるでしょう。また、浮気相手の私物にボイスレコーダーを仕込むために無断で住宅に入った場合、住居侵入罪に抵触します。

プライバシーの侵害にも注意が必要

ボイスレコーダーを設置する際は、相手のプライバシー侵害にも注意が必要です。上述のように、パートナーであっても相手の私物にボイスレコーダーを仕込む行為はプライバシー侵害にあたってしまいます。

プライバシー侵害に対しての罰則は設けられていませんが、民事上の責任として慰謝料を請求される恐れがあります

浮気調査でボイスレコーダーを使うなら共有スペースに設置する

浮気調査でボイスレコーダーを使う際は、相手の私物やプライベートな空間への設置は控えましょう。一緒に住んでいるパートナーであっても、プライバシー侵害を問われる可能性があるからです。

法的なリスクが低い設置場所としては、次のような共有スペースが挙げられます。

  • 自宅のリビング
  • 共有している乗用車

自宅のリビング

録音データを漏洩する

自宅のなかでも共有スペースとして挙げられるのがリビングです。リビングがくつろげる環境であれば、一人のときにパートナーが浮気相手に電話をするかもしれません。

リビング以外にも寝室が一緒であれば、寝室に設置するのも方法のひとつです。寝室もリビングと同じくリラックスできる環境であるため、一人の際に浮気相手に電話をする可能性があります

共有している乗用車

パートナーと共有している乗用車も、ボイスレコーダーの設置場所として挙げられます。乗用車に設置することで、パートナーと浮気相手との通話が録音できる可能性があるでしょう。さらに、パートナーが浮気相手を乗車させた場合、車内の様子を録音可能です。

ボイスレコーダーでの浮気調査が相手にバレたときのリスク

ボイスレコーダーを使った浮気調査は、相手にバレてしまうリスクもあります。パートナーの発言を録音して浮気調査を進めていることが相手にバレてしまった場合、次のようなリスクにつながりかねません。

  • 相手の警戒心が強まりガードが固くなってしまう
  • 夫婦関係に亀裂が生じる

相手の警戒心が強まりガードが固くなってしまう

相手の警戒心が強まりガードが固くなってしまう

ボイスレコーダーで録音していることがバレてしまった場合、相手は警戒心を強めるでしょう。その結果、なかなか浮気相手に連絡しなくなる、浮気相手と会わなくなるといった結果につながりかねません。

また、これまでの浮気相手との連絡履歴や写真などを消去して証拠隠滅を図る恐れがあります

夫婦関係に亀裂が生じる

ボイスレコーダーで浮気調査をしていることがバレてしまったら、夫婦関係に亀裂が生じかねません。設置がバレたことで夫婦関係に亀裂が生じ、民事トラブルに発展する恐れもあります

過去にはボイスレコーダーの設置を巡り、夫婦での民事トラブルに発展したケースもあるほどです。このケースでは、盗聴は夫婦の信頼関係を傷つける行為と判断されました。(※5

夫婦の信頼関係を傷つける行為と判断された場合、その後の関係修復が難しくなりかねません。

ボイスレコーダーで入手した浮気の証拠の効力

ボイスレコーダーで入手した浮気の証拠はどれほどの効力があるのでしょうか。

ここでは浮気の証拠として使える音声データ、浮気の証拠として使えない音声データを解説します。

浮気の証拠として使える音声データ

浮気の証拠として使える音声データ

浮気の証拠として使える音声データは次のとおりです。

  • 性行為や類似の行為を行っている際の録音
  • 肉体関係をうかがわせる会話の録音
  • 浮気を自白している録音
  • 浮気を匂わせるだけの発言

性行為や類似の行為を行っている際の録音

性行為や類似の行為を行っている際の録音であれば、決定的な浮気の証拠として機能するでしょう。特に自宅に浮気相手を連れ込んでいた場合、より強い精神的苦痛を主張できます

しかし、自宅であっても設置されている場所によってはプライバシーの侵害に問われるので注意しましょう。

肉体関係をうかがわせる会話の録音

肉体関係をうかがわせる会話の録音も、浮気の証拠として機能する可能性があります。しかし、肉体関係が疑われるものの曖昧な発言もあるでしょう。このようなケースでは、ほかの証拠と組み合わせることがポイントです。

曖昧な発言の場合単体では証拠としての能力が弱いため、複数の証拠から不貞行為を立証します。

浮気を自白している録音

パートナーが浮気を自白している録音も浮気調査の証拠として機能します。例えば、パートナーと浮気について話し合う際にボイスレコーダーを回せば「浮気してしまった」というパートナーの自白を録音できるかもしれません。

次のような発言もパートナーによる自白として挙げられます。

  • 妻(夫)と別れて一緒になる
  • 妻(夫)に内緒で会おう
  • 妻(夫)よりも好きだ

浮気を匂わせるだけの発言

録音された発言が、パートナーの浮気を匂わせるだけの曖昧なものならば、浮気の証拠としての効力は弱いでしょう。そのため、浮気相手と行ったであろうラブホテルの領収書など、ほかの証拠と合わせて使用しましょう。

当然、プライバシーの侵害や法律を犯した手法で録音したデータは証拠として認められません。証拠として機能させるのであれば、プライバシーや法律に配慮した手法で録音を進めましょう。

浮気の証拠として使えない音声データ

浮気の証拠として使えない音声データは次のとおりです。

  • 録音が不鮮明
  • 日常的な会話
  • 脅迫して自白させた録音

録音が不鮮明

誰が誰と会話しているのか分からなければ、浮気の証拠としては機能しません。そのため、不鮮明な録音は浮気の証拠としての効力が期待できないでしょう。

ボイスレコーダーを使って浮気の証拠を押さえるのであれば、事前にどれくらいクリアに録音できるのか性能を確認しておきましょう。

日常的な会話

パートナーと浮気相手との日常的な会話も浮気の証拠にはなりづらいです。例えば「好き」「愛してる」といった言葉を発していた場合、心情としては立派な浮気ですが、離婚や慰謝料請求においては肉体関係が認められることが重要です。愛を伝えているだけでは、浮気の証拠としては機能しないでしょう。

日常的な会話の録音は、あくまで浮気の可能性を疑うきっかけとして扱いましょう。

脅迫して自白させた録音

脅迫して自白させた録音も浮気の証拠としては認められません。それどころか、脅迫罪をはじめとした関連する罪に問われる可能性があります

ボイスレコーダーで有効な浮気の証拠を入手するのは困難

ボイスレコーダーで有効な浮気の証拠を入手するのは困難

ボイスレコーダーは浮気調査に使用可能です。しかし、それだけで有効な浮気の証拠を入手するのは困難です。

設置する場所が限定的になるうえに、設置したからといってパートナーが浮気相手と会話するとは限りません。慎重なパートナーであれば自宅での浮気相手との通話は控えているというケースもあるでしょう。

さらに、「ホテルに行こう」という発言を録音していたとしても、本当にホテルに行ったのかは写真や映像など、裏付ける証拠が必要です。

そのため、浮気の証拠は録音内容だけでなく写真をはじめとしたほかの証拠も集めるようにしましょう。

浮気調査はボイスレコーダー以外の証拠を集めておこう

浮気調査でボイスレコーダーを使用する際は法律への配慮が必要です。録音行為そのものは問題視されなくても、付随する行為が法律に抵触する可能性があります。

浮気調査で相手の発言を録音しようとする場合、法律に抵触するだけでなく、バレてパートナーとの関係が悪化する、相手の警戒心が高まってしまうといったリスクにつながりかねません。

ボイスレコーダーによる証拠のなかでも、性行為や類似の行為を行っている際の録音、肉体関係をうかがわせる会話の録音などが効果が期待できます。

一方、録音が不明瞭といった場合は浮気の証拠として期待できません。録音による証拠だけでなく、他の証拠も活用しましょう。