浮気の証拠といえば、ラブホテルに出入りする不倫カップルの写真を想像する人も多いのではないでしょうか。
実際に、法的に有効な証拠を揃えようと思ったら、不貞行為(肉体関係)を示す証拠を違法にならない方法で入手する必要があります。2人で食事している写真だけでは、残念ながら浮気の証拠にはなりません。
この記事では、慰謝料請求する際に有効な証拠、浮気の証拠の種類、集め方、注意点などを解説いたします。
決定的な証拠がない場合の対処法もご覧ください。
- 慰謝料請求する際に有効な証拠について
- 浮気の証拠の種類
- 証拠を集めるときの注意点
浮気の証拠になるものとは?
浮気の証拠といっても、次の2つは異なります。
- パートナーに対して浮気を問い詰めるためだけの証拠
- 離婚・慰謝料請求に有効な証拠
もし、パートナーの浮気を問い詰めたいだけであれば、相手の性格を考えて言い逃れできない程度の証拠を揃えれば十分です。女性に贈ったプレゼントのレシートだけでも、問い詰めて白状させることはできるかもしれません。
しかし、その後の展開まで考えると、大切なのは離婚・慰謝料請求を視野に入れた証拠の確保です。離婚・慰謝料請求に有効なのは、不貞行為(肉体関係)があることを証明できる証拠です(※1)。
裁判所の判例によると、不貞行為とは「配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と定義されています(※2)。つまり、パートナーと浮気相手に性的関係があれば不貞行為とみなされます。
ラブホテルに出入りする2人がはっきり認識できる写真や、性行為の画像・音声など、入手が難しい証拠が必要です。ただし、違法に入手した情報は証拠として認められないことがあります。不貞行為の証拠は、違法にならない正しい方法で入手しなければいけません。
慰謝料請求する際に有効な証拠
慰謝料請求をするためには、不貞行為があったことを証明・推認できる証拠が必要です。
配偶者が浮気をしたとき、証拠がなくても慰謝料請求はできます。しかし、相手が浮気を認めない場合、証拠がなければ慰謝料を払ってもらえないことになってしまうのです。そこで、やはり慰謝料請求をするためには、不貞行為があったことを証明・推認できる証拠を揃えておく必要があります。
また、浮気相手に慰謝料請求をする場合には、既婚者であると知っていながら行為に及んでいることの証拠も必要になってきます。これは、「故意・過失」に関する証拠とされます。
配偶者に慰謝料請求をする場合 |
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浮気相手に慰謝料請求をする場合 |
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詳しく見ていきましょう。
不貞行為を証明・推認できる証拠
浮気・不倫により、離婚や慰謝料請求をする際には、不貞行為を証明・推認できる証拠が必要です(※1)。
つまり、配偶者ではない相手と、自由意志による性行為や性行類似行為があったと立証できる証拠が必要なのです。
それでは、具体的な証拠を表で確認してみましょう。
証拠 | 証拠の内容 | 有効 |
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写真・動画 |
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SNS・メール(LINEなど) |
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音声データ |
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調査会社の報告書 |
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不貞行為があると分かるのは、次のような証拠などです。
- 性行為をしている動画・写真
- ラブホテルに出入りをしている動画・写真
さらに、写っているのがパートナーと浮気相手であると識別できる鮮明な画像でなければなりません。2人で食事している写真だけでは不貞行為を推認できないため、証拠として有効ではありません。
ただし、決定的ではない証拠であっても、特別な関係にあることを第三者に理解してもらうことはできるかもしれないため、保存はしておきましょう。
「故意・過失」に関する証拠
浮気相手に慰謝料請求をするためには、「故意・過失」に関する証拠が必要です。
故意・過失に関する証拠とは
- 浮気相手が(自分の交際相手が)既婚者であることを知っていた証拠
- 浮気相手が(自分の交際相手が)既婚者であることを知らなかったことに過失がある証拠
例えば、マッチングアプリで知り合った場合、浮気相手が「自分の交際相手が既婚者であることを知らなかった」と主張することもあり得ます。
そのような場合には、「昨日は奥さんにバレなかった?」など、既婚者であると知って交際していたことの証拠が必要です。
ただし、浮気相手が同僚や友人などであれば、既婚者であると知らなかったという言い逃れは難しいでしょう。
浮気の証拠の種類
慰謝料請求や離婚訴訟のためには「不貞行為」が証明できる証拠が必要です。証拠の内容によっては、法的に有効であるかどうかの度合いに違いがあります。
たとえ、有効性が低い証拠であっても、積み重ねることで言い逃れが難しくなるため、しっかり確保しておきましょう。
写真・動画
写真や動画は、証拠として有用です。肉体関係があるとはっきり分かる写真や動画が望ましいでしょう。有効性の高い証拠としては、次のようなものがあります。
- 性行為をしている写真・動画
- ラブホテルに出入りする写真・動画
- 宿泊旅行の写真・動画
- 性的関係を示唆するラインなどを写した画像
一方、パートナーと浮気相手が一緒に食事している写真を手に入れても、それだけでは不貞行為とはみなされません。
肉体関係が分かる浮気現場を写すのは難しいものですが、もし入手できれば決定的な証拠となります。
LINE・SNS
LINEなどのメッセージも、性的関係を示唆する内容であれば有効な証拠になることがあります。
- ホテルに宿泊したと分かるメッセージ
- 浮気相手の自宅に宿泊したと分かるメッセージ
- 2人だけで旅行したと分かるメッセージ
- 性的関係があると分かるメッセージ
例えば、「昨日のホテル、良かったね」「京都旅行楽しかったです。ずっと2人だけで過ごせてとてもうれしかったな」などというメッセージは、必ず確保しておきましょう。
一方、2人で食事したり映画を観たりしただけの内容では、不貞行為の証拠にはなりません。
ただし、性的関係を示唆する内容と合わせた場合は、浮気相手と親密にやりとりしていることの証明になり、説得力が増します。それだけでは証拠としての効力が弱いメッセージでも、他の証拠と合わせれば役立つこともあります。疑わしいと感じさせる内容のメッセージは全て押さえておきましょう。
音声データ
パートナーと浮気相手のあいだに性的関係があるとはっきり分かる音声データがあれば、証拠として有効性が高いでしょう。
- 性行為またはそれに近い行為をしている音声
- 肉体関係があることを伺わせる会話
- パートナーが不貞行為を認めた発言
例えば、自宅や自家用車に仕掛けたボイスレコーダーに、パートナーと浮気相手が性行為をしている音声が録音されていたら、証拠としての有効性は高いでしょう。
ただし、浮気相手の家や車にボイスレコーダーを仕掛けるのはやめておきましょう。住居侵入の罪(※3)に問われる可能性があります。また、許可なく録音することは、プライバシーの侵害と判断されることがあるため、注意が必要です。
ドライブレコーダー・カーナビの走行履歴
ドライブレコーダーやカーナビの走行履歴から浮気が分かることもあります。
- 浮気相手の自宅
- 浮気相手の職場
- ラブホテル
走行履歴や地点登録に上記が残っている場合、ほかの証拠と合わせて活用できるでしょう。自分が知らない場所を頻繁に訪れていないか、入念にチェックしてみましょう。
ホテルなどのレシート・領収書
ホテルやレストランなどのレシートや領収書も浮気の証拠の一つとして活用できます。次のようなレシートは浮気と関連している可能性があるでしょう。
- ラブホテルのレシート
- 2人分の食事代のレシート・領収書
- 映画などの2人分のレシート
ただし、レシートや領収書だけでは、浮気相手と行ったことまでは証明できません。2人でホテルや旅行に行くメッセージのやりとりがあれば、レシートと合わせて浮気相手と行った証拠となります。レシートや領収書は、ほかの証拠と合わせて使うと考えましょう。
手紙
パートナーと浮気相手の手紙のやりとりが、浮気の証拠になることもあります。肉体関係があったことを示唆する内容が書かれていれば、浮気の証拠として有効です。
いまどき、手紙のやりとりなんてするかな?と思われるかもしれませんが、記念日などにメッセージカードと一緒に手紙を添えることもあります。
「2人で初めて一緒に過ごした夜」
「ホテルから見た夜景」
上記のように、不貞行為に関連する言葉が書かれていないかチェックしましょう。
プレゼント
浮気相手からのプレゼントや浮気相手に贈るプレゼントも、証拠の一つとされることがあります。
- 友人関係ではあり得ない高額なプレゼント
- セクシーな下着
- 高価なアクセサリー
上記は、特別な関係にあることを示す証拠として役立つでしょう。プレゼントだけで不貞行為を証明することはできませんが、ただの友人関係ではないことを第三者に理解してもらう手助けになります。
クレジットカードの利用明細
クレジットカードの利用明細も浮気の証拠の一つとして活用できます。まず、カードの利用情報と行動を照らし合わせると、浮気を見抜けることがあります。
残業や出張と言っていた日に、高級レストランやホテルを利用した記録があれば浮気の疑いがあります。浮気に関連するのは次の支払いです。
- ホテル代
- レストラン代
- デートスポットでの飲食代やチケット代
- プレゼント代
クレジットカードの利用明細に不審な点がある場合には、しっかり保管しておきましょう。
クレジットカードの明細だけでは、証拠能力は弱いかもしれません。しかし、ほかの証拠と合わせることで証拠としての効力が高まることもあります。
GPSの記録
スマホのGPSの移動記録も浮気の証拠につながることがあります。パートナーがどこにどのくらいの時間いたのかが分かるでしょう。
- ラブホテル
- 浮気相手の自宅
- 浮気相手との旅行の宿泊先
上記にいることが分かれば、浮気の確認ができます。ただし、GPSの記録だけでは不貞行為の決定的な証拠にはなりません。写真や動画などの証拠と一緒に、補助的な証拠として使えます。
子どもの血液型・DNA判定
妻が浮気していた場合、子どもが浮気相手の子どもである可能性もあります。子どもの血液型やDNA鑑定で親子関係を明確にできます。
万が一、子どもが自分の子どもではないことが分かれば、離婚・慰謝料請求ができます。浮気を否定することもできなくなるでしょう。
探偵事務所の調査報告書
浮気の証拠としてもっとも有効性を期待できるのは探偵事務所の調査報告書です。探偵事務所などの調査会社は、探偵業法という法律に則って調査を行っています。
また、プロの探偵は、専門知識やスキルが豊富なので、有効な証拠を集められます。探偵事務所の調査報告書は、信用性のある証拠として扱われるでしょう。
浮気の証拠の集め方
浮気の証拠の集め方をご紹介します。自力で浮気の証拠を集める場合、不貞行為が分かる決定的な証拠の確保までは難しいかもしれません。
しかし、複数の証拠を積み重ねると、ほかの証拠の有効性を高めることもあります。できるだけ多くの証拠を集めてみましょう。
スマホを調べる
スマホの中を見ることができれば、浮気相手とのLINEのやりとりなどをチェックできます。また、浮気相手とのツーショット写真が出てくれば、浮気相手の顔を特定できるでしょう。
ただし、パートナーが浮気をしている場合、ロックをしっかりかけて家の中でもスマホを手放さない可能性があります。その場合、無理にスマホの中を見ようとするのはやめておきましょう。浮気を疑っていることがバレてしまい、後々の証拠集めが難しくなってしまうかもしれません。
また、持ち主に無断でスマホのロックを解除し、中身を確認する行為は、不正アクセス禁止法(※4)に違反する可能性があります。他人のスマホを勝手に調べるのは法リスクが高い行為です。夫婦のあいだであっても控えたほうがよいでしょう。
クレジットカード明細とレシートでお金の流れを調べる
浮気をしていれば、なにかとお金がかかるものです。クレジットカードの明細とレシートで、お金の流れを調べましょう。次の情報から浮気が発覚することがあります。
- ホテル代
- 高級レストランの食事代
- 女性へのプレゼント代(アクセサリーなど)
浮気をしている人は、クレジットカードの明細から浮気がバレるのを警戒し、現金で支払いをしていることがあります。クレジットカードの明細に不審な点がない場合は、財布や洋服のポケットに、うっかり捨て忘れているレシートがないか探してみましょう。
ドライブレコーダーで車を調べる
ドライブレコーダーで、走行履歴・録音・録画データを調べてみましょう。次の場所を訪れているようなら、浮気相手と密会している可能性があります。
- ラブホテル
- 特定の住宅地(浮気相手の家)
- デートスポット
また、ドライブレコーダーには、浮気相手が録画されていたり浮気相手との会話が録音されていたりするかもしれません。浮気の証拠を発見したら、しっかり保管しておきましょう。
ボイスレコーダーで自宅内の音声をチェックする
ボイスレコーダーで浮気の証拠を集めてみましょう。ただし、ボイスレコーダーを浮気相手の家やパートナーの所有物などに仕掛けると、プライバシーの侵害や住居侵入の罪に問われる可能性があります。(※3)
ボイスレコーダーを設置するなら、違法にならない「夫婦の共有スペース」である自宅にしましょう。
パートナーが自宅に浮気相手を連れ込んでいる場合は、性行為の音声が録音できることもあります。また、自宅で浮気相手と通話している場合、浮気していることが分かる会話が録音できるかもしれません。
探偵に依頼する
自力での浮気調査は時間と労力がかかるうえに、できることに制限もあります。また、浮気調査が「バレる」「違法行為になる」というリスクもあります。
リスクを避けながら法的に有効な浮気の証拠を集めたいのなら、専門知識をもつ探偵に依頼するのがよいでしょう。探偵に依頼すれば、慰謝料請求に有効な浮気の証拠を、高い確率で入手できます。
浮気の証拠を集めるときの注意点
浮気・不倫の証拠を集めるときには、次の点に気をつけましょう。
- 違法とみなされる方法で収集しない
- パートナーにバレないように収集する
- データを捏造してはいけない
違法とみなされる方法で収集しない
違法とみなされる方法で集めた証拠は、証拠として認められないことがあります。具体的には、次の行為などです。
- 浮気相手の家で盗聴・盗撮
- パートナーのスマホに不正アプリをインストールする
違法行為をすると、反対に訴えられてしまうこともあるため要注意です。
パートナーにバレないように収集する
証拠集めに夢中になり、浮気を疑っていることがパートナーにバレないように気をつけましょう。パートナーが警戒して、証拠を厳重に隠すようになってしまいます。
パートナーの警戒心が高まるほどその後の浮気調査が困難になるため、くれぐれもバレないように気をつけましょう。
データを捏造してはいけない
決定的な証拠が入手できないからといって、証拠を捏造するのはやめましょう。
- 画像を加工
- メールを偽造
上記のような行為は絶対にしてはなりません。慰謝料請求ができなくなるばかりか、罪に問われることになります。
浮気の証拠として認められにくいもの
浮気の証拠として認められにくいものを知っておきましょう。違法に収集した情報や日常的なシーンの画像などは、証拠として認められにくいです。
浮気相手の家にカメラやボイスレコーダーを仕掛けて得た情報
浮気相手の家にカメラやボイスレコーダーを仕掛けて情報を得るのはやめておきましょう。住居侵入の罪(※3)に問われる可能性があります。違法に収集した情報は証拠として認められません。
不正アプリで得た情報
パートナーに無断でスマホにアプリをインストールするのもやめておきましょう。不正指令電磁的記録供用罪(※5)に問われる可能性があります。証拠として認められないだけでなく、違法行為で訴えられてはその後の生活に大きな支障が出てしまいます。
食事をしているだけの写真など
食事をしているだけの写真や日常会話のメッセージでは、浮気の証拠としては認められにくいでしょう。
また、写真は改ざんされやすいため、証拠として認められない可能性があります。動画を撮影したり、連続した写真を複数枚撮影したりするなど、信用性を高める工夫をしましょう。
浮気の証拠がない場合
自力での浮気調査では、不貞行為の決定的な証拠を入手できない場合も多いでしょう。しかし、複数の証拠を組み合わせることで不貞行為の事実を証明できるケースもあります。
LINEメッセージやレシートなど、単体では不貞行為の証拠としては弱い情報でも、見つけた場合はしっかり確保しておきましょう。
また、不貞の証拠として決定打に欠ける場合でも、収集した証拠を探偵へ依頼する際に提出することで調査期間を短縮できる可能性もあります。
調査期間が短ければそれだけ費用も削減できるため、どんなに小さな証拠であっても無駄ということはありません。
浮気の証拠集めには知識とスキルが必要!探偵の力を借りよう
浮気の証拠になるものについて解説いたしました。離婚・慰謝料請求のために有効な証拠は、不貞行為(肉体関係)が立証できる証拠です。もし、決定的な証拠がない場合には、複数の証拠を組み合わせて不貞行為の事実を証明する必要があります。
自力での証拠集めにはリスクがあるうえに限界もあります。専門知識とスキルのある探偵に依頼して、スムーズな証拠集めをしましょう。その際、自力で集めた情報も利用すると、よりスムーズに調査が進むことがあります。自力で得た証拠もしっかり確保しておきましょう。