家出を放置すると、家出人が事件に巻き込まれたり、そのまま発見されなかったりする可能性が高くなってしまいます。家出人を探すためには、年代、人間関係、行動パターンなどから、行き先を絞り込んでみましょう。
緊急性が高いと判断した場合は、早急に警察に相談しましょう。また、人探しのプロである探偵に相談するのも一つの方法です。
この記事では、家出の行き先一覧や、早期発見のためのポイントを紹介します。家出人を捜索する際の参考にしてください。
- 家出人の年代・状況別の行き先
- 家出人を探す方法
- 家出人を早期発見するためのポイント
行方不明者数の約4割が10~20歳代

警察庁のデータによると、令和5年の行方不明者数は9万144人です。
年代別で見ると10歳代が1万7,732人と最も多く、10歳代と20歳代(1万7,600人)だけで行方不明者全体の4割を占めています。また、認知症などに関連して80歳代(1万4,640人)も目立ちます。(※1)
また、行方不明の原因・動機としては、60歳代以降が疾病の割合が高い一方、10歳代は家庭環境、20歳代は事業・職業関係などの悩みによるものが多く、自分の意思で行方をくらませているケースが多いことがわかります。
家出した人の行き先まとめ
認知症による徘徊の場合、行き先を絞り込むのは困難です。しかし、家出の場合は「雨風をしのげる場所」「横になれる場所」「長時間落ち着いて腰を据えられる場所」など、ある程度行き先を絞り込むことができます。
家出した人の行き先として考えられるスポットは下記のとおりです。
行き先 | 本人の所持金 | 発見の可能性 | 家出人の傾向 |
ネットカフェ | 中 | 高 | 成人 |
ホテル・カプセルホテル | 多 | 中 | 成人子連れの人 |
スーパー銭湯・健康ランド | 多 | 中 | 成人 |
車中泊 | 中 | 中 | 成人 |
友人の家 | 少 | 中 | 成人未成年 |
実家 | 少 | 高 | 成人既婚者子連れの人 |
浮気相手(恋人)の自宅 | 多 | 中 | 成人未成年 |
SNSで知り合った相手の自宅 | 少 | 低 | 成人未成年 |
民間シェルター | 少 | 低 | 成人女性 |
ナンパ相手の家 | 少 | 中 | 成人未成年 |
公園や高架橋下などで野宿 | 少 | 中 | 成人男性未成年 |
山中 | 少 | 低 | 成人男性未成年 |
カルト教団な暴力団の巣窟 | 中 | 中 | 成人 |
風俗店 | 少 | 低 | 成人女性 |
パチンコ店・ゲームセンター | 中 | 中 | 成人男性未成年 |
商業施設(ショッピングモールなど) | 中~多 | 中 | 成人女性 |
コンビニ | 少~多 | 中~高 | 成人未成年 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ネットカフェ

ネットカフェは、家出人が安く滞在できる場所として選ぶ可能性が高い場所です。高速インターネット(Wi-Fiフリースポット)やコミック・ゲーム・映画・ネット配信のほか、フリードリンクやシャワー、コインランドリーなど、生活に必要なものが揃っているため、お金さえ続けば長期間の滞在が可能です。1週間から1ヵ月のフリーパスを利用すれば、1日2,500円程度から滞在できるプランもあります。
ただし、ネットカフェは登録時に身分証の提示が必要です。高校生などの未成年が長期滞在するのは難しいかもしれません。
ホテル・カプセルホテル
宿泊環境を重視する人なら、ホテルを選ぶでしょう。ホテルであれば、ベッド、お風呂、テレビ、Wi-Fi、冷暖房完備なうえ、セキュリティ面も安心です。子供を連れて家出をした場合、安全面を考慮してホテルを選ぶ人もいるかもしれません。
宿泊費はホテルのグレードによって異なりますが、カプセルホテルであれば比較的安価で利用できるでしょう。
- ビジネスホテル:6,000円〜1万円程度
- カプセルホテル:3,000円〜数千円程度
しかし、安いプランもあるとはいえ、家出の行き先としてホテルを選べるのはある程度所持金を持っている人に限られます。
スーパー銭湯・健康ランド
24時間営業のスーパー銭湯や健康ランドであれば、宿泊が可能です。お風呂があるのはもちろん、リラクゼーションエリアやカプセル個室などで睡眠もとれます。女性専用エリアがあるスーパー銭湯を選べば、女性も安心して宿泊できます。
ホテルより安価で大浴場も楽しめるため、1~2日程度のプチ家出に利用する人もいるでしょう。
車中泊
自家用車を所有している人なら、車中泊も考えられます。宿泊料金がかからないため、所持金がそれほど多くない場合でも長期間過ごすことができるでしょう。
ただし、ガソリン代がかかるため、やはりある程度のお金が必要です。
車中泊ができるエリアはインターネット上で紹介されているため、家出人が行きそうなエリアを調べることできます。
友人の家
頼れる友人がいれば、その人の家に身を寄せているかもしれません。一人暮らしの友人であれば長期間滞在することも可能です。
友人は家出の原因となる出来事や本人の気持ちを親身になって聞いてくれるため、話をした流れで、そのまま友人の家に落ち着いてしまっていることもあるでしょう。
実家

実家であれば、衣食住を提供してもらいながら滞在することも可能です。実家の家族と仲が良い場合や金銭的に困窮した状態の家出であれば、実家が行き先として選ばれるでしょう。
両親が心配して宿泊させている場合、居場所が分かったとしても、なかなか帰ってきてもらうことはできないかもしれません。
浮気相手(恋人)の自宅
浮気相手や恋人の自宅に入り浸っている可能性もあります。
- 既婚者の場合:浮気相手にのめりこんでしまっている
- 独身者の場合:実家より恋人の家の居心地がよい
上記のような状況になっている家出人は、なかなか帰ってきたがらないでしょう。
SNSで知り合った相手の自宅
所持金が少なく行く当てがない人の場合、SNSで知り合った相手の自宅にいることもあります。とくに10代の若者は警戒心が薄く、SNSでしか交流のない人物でも優しい言葉をかけられたらすぐに信用してしまうこともあるでしょう。
このような場合は事件に巻き込まれる可能性が高いため、一刻も早く見つけて連れ戻す必要があります。
家出人のスマホ、パソコン、クラウド上の履歴を調べて、SNS上の相手と親しくなって待ち合わせをしてないか調べてみましょう。
民間シェルター
DV被害やストーカー被害から逃げるために家を出ている場合は、民間シェルターを利用しているかもしれません。被害者を守るため、民間シェルターの場所は非公開となっています。被害者保護の観点から、もし問い合わせをしても、そこにいるかどうかを教えてもらうことはできないでしょう。
ナンパ相手の自宅
家出した未成年をナンパして、自宅に宿泊させる男性もいます。こうした男性の多くは性行為が目的です。場合によっては意に添わぬ性行為だけではなく、脅迫や暴力事件、殺人事件などに巻き込まれる可能性もあるため、早急に発見・保護しなければなりません。
なかには強引に自宅に連れ込まれ、連絡が取れない状態になっている可能性もあります。事件性が高いと感じた場合は、できるだけ早く警察に相談しましょう。
公園・高架橋下などで野宿
家出人が男性で所持金が少ない場合は、公園・高架橋下などで野宿することもあります。宿泊費用はかかりませんが、通常、この生活を長期間続けるのは困難です。しかし、なかにはそのままホームレスとして生活を続けて行方知れずになるケースもあります。
野宿の場合、トイレはコンビニや商業施設で済ませているため、そこで発見される可能性もあるでしょう。
山中
精神障害やノイローゼ、自殺願望がある人の場合は要注意です。山中など人の目の離れた場所に行ってしまう場合があります。食料の確保も難しく、発見が遅れると低体温症で死亡する可能性があるでしょう。登山装備をせずに山に入ったという目撃情報があれば、すぐに警察に連絡し、捜索してもらいましょう。
カルト教団・暴力団の巣窟
カルト教団や暴力団の巣窟など、危険性の高い場所に身を置いている可能性もあります。この場合、家出人は洗脳状態にあるため、家族に発見されないように準備して家出しているでしょう。発見できても、本人が帰らないと言い張ることも考えられます。
場合によっては弁護士を立てる必要もあるでしょう。
風俗店

風俗店は、即日入店・寮完備である店舗もあり、宿泊場所やお金に困っている女性が家出の行き先として選ぶことがあります。
風俗店は基本源氏名(偽名)で働いているため、本名で探すことはできません。風俗店のサイトから顔出ししている風俗嬢を検索し、探している家出人の写真がないか調べましょう。
しかし、写真を掲載していても顔出しをしているとは限らないため、自力で調査するのは困難でしょう。
パチンコ店やゲームセンター
家出中、仕事もしていない場合、パチンコ店やゲームセンターで時間を潰しているかもしれません。元からパチンコやゲームが好きだった人の場合、営業時間中はずっと滞在している可能性もあります。
とくに10代の未成年の場合、長時間時間をつぶせる場所が大人よりも限られてくるため、まずはゲームセンターを探してみるとよいでしょう。
ショッピングモールなど商業施設
ショッピングモールには、トイレや休憩できるスペースがあります。客層もさまざまであるため、客に紛れていれば長時間滞在することも可能です。たとえば宿泊先がカプセルホテルや野宿であっても、昼間はショッピングモールで過ごしているかもしれません。
コンビニ
コンビニでは、家出人が食料品や日用品を調達したり、トイレを利用したりできます。とくに車中泊や野宿をしている人は、コンビニに立ち寄る機会も多いでしょう。また、ホテルなどの宿泊施設に滞在している場合でも、食費を節約するためにコンビニで食料品を買っている可能性があります。
家出人が立ち寄りそうなコンビニに家出人の写真や情報を記載したチラシを配り、情報提供を募ってみましょう。
家出人の年代や状況で行き先の傾向が異なる
家出の行き先は、家出人の年代や家出の原因、精神状況などによって傾向が変わってきます。たとえば、10代学生の場合、家出の原因の多くは家庭関係です。未成年は金銭的に余裕がないことが多いため、よほどのことがない限り行動範囲も限られてきます。
下記の表を参考に、まずは行き先として確率の高い場所から探していくとよいでしょう。
年代 | 原因 | 行き先の傾向 |
10代(学生) | ・家庭関係 | 公園・友人の家・ゲーセン・SNSで知り合った人の家・ナンパしてきた人の家 |
20代(社会人) | ・職業関係・家庭関係 | インターネットカフェ・スーパー銭湯・ホテル・車中・SNSで知り合った人の家・実家・友人の家・恋人の家 |
30代〜50代 | ・職業関係・家庭関係・異性関係 | インターネットカフェ・スーパー銭湯・ホテル・車中・浮気相手の家・実家・友人の家・山中・シェルター |
60代 | ・職業関係・家庭関係・疾病(認知症など) | ホテル・公園・山中 |
70代〜 | ・疾病(認知症など) | ー |
家出人の探し方
家出人をできるだけ早く見つけ出すには、初動が重要です。思い当たる場所を自分で探すだけでなく、状況によっては警察や探偵に調査を依頼しましょう。
緊急性が高いと判断されれば、警察は迅速に捜索を開始してくれるでしょう。
ここでは、家出人を探す際の方法について、それぞれ詳しく解説します。
友人・知人・勤務先に連絡する

まずは家出人と関わりのある人たちに連絡をとってみましょう。居場所に心当たりがある人がいるかもしれません。本人が行きそうな場所だけではなく、最近の様子や、最近親しくしている人なども聞き出し、できるだけ多くの情報を入手しましょう。
本人の持ち物をチェックする
持ち物をチェックすることで、計画的な家出かどうかがわかります。
次のものが持ち出されているなら、計画的な家出の可能性があります。まずは長期滞在できるネットカフェやホテルなどを探してみるとよいでしょう。
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- パスポート
- 預金通帳と印鑑
- 衣類
行き先については、次の持ち物から調べることもできます。
- パソコンの検索履歴
- ゴミ箱のレシート類
パソコンの検索履歴から、本人が行きたがっていた場所やホテルが分かることもあります。また、新幹線や高速バス、飛行機などを事前に手配している場合、チケットを購入した際のレシートなどが出てくるかもしれません。
本人の行動範囲で聞き込み調査をする
家出人の足取りを辿るなら、まずは普段の行動範囲から調べてみましょう。とくに勤務先から自宅までのエリアには、よく行く飲食店やショップ、商業施設などが点在しています。家出人が読書好きであれば本屋やネットカフェ、ファッションに関心があるタイプであれば、頻繁に購入していたブランドショップに聞き込みをするとよいでしょう。
SNSを利用して探す
本人のSNSのアカウントをチェックしてみましょう。投稿内容から現在の居場所が分かる可能性があります。インスタグラムであれば、写真から場所を特定できるかもしれません。エックスであれば、本人の心境や行動のつぶやきから、居場所を割り出せる可能性があります。
また、フォロワーやフォロー中を確認して、行き先を知っていそうな人にメッセージを送ることもできます。
ビラ配りをする

地道な方法として、ビラ配りもあります。
配布するビラには次の情報を記載しましょう。
- 家出人の写真
- 家出人の名前、年齢、体格の情報
- 服装(分かれば)
- 情報の連絡先
高齢者や子供などから情報を得たい場合は、SNSよりもビラ配りの方が有効な可能性があります。
緊急性が高い場合は警察・探偵に依頼する
家出人が自殺を仄めかして息不明になったなど、命に危険があると判断される場合には、速やかに警察や探偵に調査を依頼しましょう。身体に危険が生じていると判断された場合、特異行方不明者として捜索を開始してくれます。ただし、事件性がないとみなされた場合は積極的に捜索してくれないでしょう。
警察では事件性がないと判断された事案でも、探偵であれば依頼後すぐに調査を開始します。「事件性はないがプロの手を借りたい」という場合は、探偵事務所を頼ってみましょう。
早期発見のためのポイント
警察庁の資料によると、発見される行方不明者の人数は届出が受理された当日が最も多く、1週間を過ぎると極端に少なくなります。(※1)
家出人を安全に保護するためにも、迅速な行動で早期発見を目指しましょう。
年齢・状況・残留証拠などから行き先の見当をつける
まずはやみくもに探すのではなく、行き先の見当をつけましょう。前述したように、家出人の年齢、家出の原因、残された持ち物、SNSの投稿などから、本人が行きそうな場所を絞り込みましょう。
行き先が絞れたら、すぐに現地まで足を運んで聞き込みを開始します。
安全に関わる場合はすぐ警察に相談する

はじめは本人の意思で家出したとしても、事件や事故に巻き込まれている可能性もあります。とくに家出人が未成年や高齢者、精神疾患などを患っている場合は、すぐに警察に行方不明者届を提出しましょう。また、自殺の可能性が高い場合なども、警察は捜索を開始してくれるでしょう。
行方不明者届を提出できるのは次の人です。(※2)
- 親権者、後見人
- 配偶者(事実婚を含む)
- 監護する人
- 福祉事務所の職員
- 同居人、雇主など社会生活で密接な関係を有する人
本人の写真と、行方不明時の状況が分かる資料を用意して、最寄りの警察署に相談しましょう。
注意!「不受理届」が出されている可能性もある
家出人が、警察に行方不明者の不受理届を提出しているケースもあります。
たとえば次のような場合は、不受理届が出されている可能性が高いでしょう。
- 配偶者からDVを受けている
- 配偶者からモラハラ(精神的虐待)を受けている
- ストーカーから逃げている
ただし、不受理届は自分都合の家出や未成年の家出には適用されません。
探偵に依頼する
早期発見を目指すなら、探偵に依頼するのがおすすめです。探偵は、探偵法に基づき、依頼された調査のために「聞き込み」「尾行」「張り込み」をしてもよいと認められています。ほかにも豊富なスキルで合法的に調査できるため、自力では難しい案件でも発見できることは少なくありません。
- 事件性はないが早く探したい
- 自力では発見できない
上記の場合には探偵事務所に調査を依頼してみましょう。とくに、全国に支店がある探偵事務所であれば、遠くに行ってしまった家出人もスムーズに捜索可能です。
家出人発見のためには初動が肝心!すぐに捜索を開始しよう
行方不明になってから時間が経つほど、発見は難しくなります。家出した人の年代や状況により、行き先をある程度絞り込むことは可能です。記事を参考に、家出人の行きそうな場所を絞り込んだら、すぐに捜索を開始しましょう。
命の危険がある場合には警察も動いてくれますが、そうではない場合には、自力で探す必要があります。しかし、自力での調査に限界があるのは否めません。家出した人を迅速に探し出したいのなら、探偵に調査を依頼してみましょう。家出人の安全のためにも、無料相談をすぐに利用するのがおすすめです。