モラハラ被害のトラウマの症状とは?トラウマ克服方法と知っておきたい7つの知識

モラハラ被害のトラウマの症状とは?トラウマ克服方法と知っておきたい7つの知識

「お前はなにもできないやつだ」「俺がいないとダメなんだ」など、相手をむやみに責め、自己肯定感を下げる発言はモラハラに当たります。毎日モラハラを受けると、精神的に追い詰められトラウマになってしまうことがあります。

そこでこの記事では、モラハラによるトラウマの具体的な症状と、今日からできる克服方法を詳しく解説していきます。

モラハラは身体に傷が残ることはありません。しかし、目に見えない心に大きな傷を残します。だからこそ、あなた自身が自分の心の悲鳴に気づき、辛い気持ちから抜け出す勇気を持ちましょう。

この記事を読んでわかること
  • モラハラによるトラウマ症状
  • トラウマを克服する方法
目次

モラハラは深刻な問題であることを理解しよう

モラハラは深刻な問題であることを理解しよう

モラハラは、夫婦間や会社どんな場所であっても、心に深刻な影響を与えるものであることを理解しておきましょう。モラハラは身体的な暴力とは異なり、目に見えて傷が残ることはありません。その分気づきにくく、モラハラを日常的に受けると心の傷はどんどん広がり、次第に日常生活に様々な支障をきたしはじめます。

モラハラ加害者は、自分自身の主張について正当性があると感じています。そしてモラハラ被害者も、加害者の行為は自分自身に非があるからだと考えてしまう傾向があります。

モラハラは加害者側、被害者側双方が気づきにくい非常に厄介な問題です。だからこそモラハラについて悩んでいる場合は、モラハラの影響について軽く考えることなく対処していくことが必要です。

モラハラによるトラウマの症状とは?

モラハラによるトラウマの症状とは?

ここからはモラハラによる具体的なトラウマの症状について、自分に当てはまる項目がないか考えながらみていきましょう。

  • フラッシュバックする
  • 常に心がやすまらなくなる
  • 回避行動をとるようになる
  • 思考が麻痺してしまう
  • 眠れなくなる
  • 異性が怖くなる
  • 仕事に行けなくなる

もし自分に当てはまる項目が複数あるなら、モラハラ被害で心に深刻なトラウマを抱えている可能性があります。ここからはさらに症状を具体的に見ていきましょう。

過去の嫌な経験がフラッシュバックする

フラッシュバックが起こることがあります。フラッシュバックとは、過去に強いトラウマ体験をした記憶を突然鮮明に思い出したり、夢で同じ体験を繰り返したりする現象です。

フラッシュバックが起きると過去の感情が引き起こされ、不安やパニックになる、集中力が低下する、眠れなくなるなどの症状が出ることがあります。

常に心が休まらなくなる

常に緊張状態になり、心が休まらなくなります。

フラッシュバックがないときでも常に心が緊張状態から抜け出せず、イライラしたり、些細な出来事にも不安を感じたりするようになります。

意識的に休もうと思っても気持ちが落ち着かず、睡眠障害や日常生活にも支障をきたしてしまいます。

回避行動をとるようになる

トラウマを思い出させる行動を避ける、回避行動をとるようになります。

例えばモラハラ夫からトラウマを受けてしまった場合、モラハラ夫を思い出させる『男性』というものに対して、極端な回避行動をとることがあります。この他にも、大きな声を出してモラハラをされていた場合、無意識的に声の大きい人を避けたり、嫌悪感を感じたりするのも回避行動の一つです。

これ以外でも、そもそもトラウマとなる記憶を思い出すことを拒否することもあります。この場合モラハラでのトラウマ自体について考えたり、誰かに話したりすることを避ける傾向がみられます。

思考が麻痺してしまう

辛いことが続くと、心の防衛本能として思考や感覚が麻痺してしまうことがあります。

思考が麻痺してしまえば、モラハラ被害について考えること自体を拒否する。感覚が麻痺してしまえば、家族や友人などに対して以前の様な感情を持てなくなってしまうこともあります。

以前のように家族に愛情を感じられない、趣味を楽しむことができないといった症状があるなら、モラハラにより思考・感覚が麻痺している可能性があるのです。

眠れなくなる

睡眠がとりにくくなったり、睡眠の質が落ちたりする症状がみられます。

トラウマを抱えていると心が緊張し、リラックスできないため入眠しにくくなります。それだけでなく、小さな物音などに敏感に反応するため、些細な物音でも目を覚ますなど睡眠の質も悪くなります。

睡眠に問題を抱えると、日中の集中力の低下や倦怠感など、体に様々な問題が生じてしまいます。

異性が怖くなる

モラハラ夫(妻)がトラウマになると、異性自体に恐怖を感じるようになります。

「この人も自分を虐げるのではないか?」「そもそも自分に異性を見る目がないのではないか?」と感じてしまうのです。

相手に対して根拠のない恐怖は、人間関係を狭め新しい出会いを妨げることになりかねません。

仕事に行けなくなる

会社でのモラハラがトラウマになると、仕事自体に行けなくなってしまうこともあります。

職場に向かおうとするだけで、吐き気や強い倦怠感が現れたり、職場内で涙が止まらなかったり激しい感情の起伏が現れることもあります。症状が激しい場合、モラハラ被害者から離れるために転職しても症状が続くケースもあります。

仕事に行けなくなってしまうことで、金銭的に困窮するといった二次被害が生まれてしまうこともあります。

モラハラによるトラウマの症状は、日常生活に深刻な影響を与えるものばかりです。トラウマについて軽視することなく、同様の症状がある場合は、しっかりとした休息と治療が必要です。

モラハラのトラウマを克服する6つの方法

モラハラのトラウマを克服する6つの方法

モラハラのトラウマを克服することはできます。

心の傷についてどう向き合うかは、あなた自身の今後を大きく変えることに繋がります。自分に合った克服方法を見ていきましょう。

自分は悪くないと認識する

まずは自分自身は悪くないと、認識しておきましょう。

モラハラ加害者はことあるごとに「お前が悪いからこうなった」「お前がバカだからうまくいかない」など自己肯定感を下げる発言を繰り返します。

誰でもこうした発言をされ続けると「悪いのは自分だ」「自分がうまくできないから、怒らせてしまうんだ」と間違った認識をもってしまいます。

モラハラの呪縛から逃れるためには、自分は何も悪くない、責める相手がおかしいと認識を変えなくてはいけません。長年刷り込まれてしまった思い込みを、すぐに払拭するのは困難です。しかし、ネガティブな考えに囚われたとき、自分は悪くないと考える癖をつけると、少しずつ自分を取り戻すことができます。

無理に乗り越えようとするのをやめる

モラハラを克服するために、無理に過去の出来事を乗り越えようと考えるのをやめましょう。

辛い過去に向き合わなくては、早く乗り越えなくては、と焦るほどいい結果は得られません。向き合えない自分に腹が立ち、乗り越えられない事実に自己肯定感がさらに下がってしまうのです。

トラウマの乗り越え方の一つとして、時間を味方につける方法はとても有効です。安心で安全な場所にいて、少しずつ辛い出来事を過去へと変えていくだけで構いません。

トラウマを克服するためにこそ、無理に乗り越える必要はないと覚えておきましょう。

自分の素直な気持ちを吐き出してみる

辛い、苦しい、悲しい、自分の素直な気持ちを吐き出せる場を持ちましょう。親しい誰かに話を聞いてもらうのもおすすめですし、ノートに素直な気持ちを吐き出すのもいいでしょう。

悲しい気持ち、悔しい気持ち、辛い気持ち。ネガティブな気持ちを持つことは何も悪いことではありません。誰もが持つ負の感情を吐き出すことで、素直な自分の気持ちに向き合うことにもつながります。

またモラハラでトラウマを受けた場合、一時的に感情が麻痺している人もいます。その場合、気持ちをノートに書きだし向き合うことで、麻痺している感情を動かすことにもつながります。

心と体をゆっくり休める

何も考えず、心と体を休めてみましょう。

モラハラに長期間晒されていると、精神的な消耗だけでなく身体的な面でもゆっくりとした休息が必要です。最初は休むこと自体に、罪悪感を抱くことがあるかもしれません。しかし今は休むことこそ仕事だと思って、思いっきり自分を甘やかしてあげましょう。

受けてしまったトラウマは、一朝一夕で解決できるものではありません。トラウマを克服するためにはまず心と体を休めて、自分の心の傷と向き合う気力を養いましょう。

自分の好きなことを見つける

没頭できる趣味や好きなことを見つけてみましょう。

趣味や好きなことは、心に栄養を届けてくれる大切な治療薬です。夢中になれるものを見つけることができれば、没頭している間は嫌なことを思い出すこともありません。

無理に新しいことを見つけることが難しいなら、昔好きだったこと、夢中になったことに再度触れてみてもいいでしょう。

楽しいこと、嬉しいことに触れることで、心は少しずつ元気を取り戻し、辛い過去を昔の出来事へと変えてくれます。

プロに相談してみる

自分一人だけでは解決できないと感じたら、プロに相談してみる勇気を持ちましょう。

モラハラによるトラウマの治療の場合、カウンセリング・心療内科・精神科への通院を検討してみましょう。中には「そんなに大事にしたくない…」と感じてしまうかもしれません。ですがプロに辛い過去を告白し、アドバイスや治療を受けることは思った以上の成果をもたらしてくれます。

トラウマが進行して、うつ病などを発症している場合は、早急に対処する必要があります。心の傷は目に見えないからこそ、自分一人で大丈夫と過信することなく、頼れる場所に赴く勇気を持ちましょう。

モラハラでのトラウマの克服方法は一つではありません。どの方法が合うかは人それぞれなので、自分に取り入れやすい方法を少しずつ試していきましょう。

モラハラによるトラウマを受けた時知っておきたいこと

モラハラによるトラウマを受けた時知っておきたいこと

モラハラによるトラウマの症状や克服方法を知ったところで、次はモラハラによるトラウマについて知っておきたいことを紹介していきます。

トラウマとPTSDの違い

トラウマとPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、異なる概念です。両方とも強いストレス体験をすることで、心身に影響が出るところに違いはありません。

違いとして、トラウマはその後、時間と共に回復に向かっていくものを指します。しかしPTSDはトラウマ体験を経験し、日常生活に支障が出る状態が続き回復しない状態です。

モラハラによるトラウマは、加害者から離れることで少しずつ快方に向かいます。ただあまりに心の傷が深いと、トラウマではなくPTSDに移行してしまうケースも存在します。

心の傷の治療には時間がかかる

心の傷を癒すためには、長い時間がかかります

心が回復するために、どのくらいの時間がかかるかは、受けた傷の深さや今ある環境など様々なことが関係します。しかしどんな場合でも、回復しようと焦ることはいい結果にはつながりません。

トラウマの症状が出ているなら、まずは心の傷の治療は時間がかかること、焦ってはいけないことを念頭に置きましょう。そしてゆっくりと確実にトラウマと向き合い、快方へ向けて歩んでいきましょう。

モラハラでの離婚は可能

夫婦間のモラハラで悩んでいるなら、モラハラでの離婚は可能です。

ただモラハラでの離婚は、相手がモラハラ被害者を離したくないと抵抗されることが多く難航しがちです。そのため離婚には音声の録音や動画など、しっかりとした証拠を押さえておくことが重要です。

協議離婚が成立しない場合は、調停離婚・裁判離婚と進んでいく可能性があります。そのため、モラハラでの離婚は証拠を確保すること、長期戦になる可能性があることをしっかりと頭の中にいれておきましょう。

モラハラでの離婚は少なくない

モラハラでの離婚に不安になっているなら、同じ悩みを抱えて決断した人は少なくないことを知っておきましょう

令和2年度の事例を見ていくと、家庭裁判所が集計した離婚申し立て事由のうち夫側は3,159件、妻側は10,948件が「精神的に虐待する」と理由で離婚を申し立てていました(※1)。

1年でこれだけの夫婦が、相手からの精神的な虐待を理由に離婚を裁判所に申し立てています。「自分が我慢すればいいから」「こんなことで離婚するなんて…」と思う必要はありません。同じ苦しみを抱えている人が、勇気を出して離別を決断していることを知っておきましょう。

※1 裁判所:第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf

子供へのモラハラは負の連鎖となる

夫婦間のモラハラは、子供へ影響を及ぼす可能性があることを知っておきましょう。

トラウマ体験をすると、「トラウマの再演」という症状があらわれることがあります。トラウマの再演とは、受けたトラウマの影響で同じようなことを自分が繰り返したり、同じような環境に身を置いたりすることを選んでしまうことを指します。

具体的には、モラハラでトラウマを受けた子供が、大人になり家庭を持った際に、同じように家族にモラハラする場合がトラウマの再演になります。

このように家庭の中でモラハラが日常的に行われていると、被害者だけでなく子供の将来へも強い負の影響が残ってしまいます。

夫婦間のモラハラ相談窓口

病院や親しい人に話せないなら、夫婦間のモラハラ相談窓口があることを知っておきましょう。

  • DV相談ナビ(#8008)
  • DV相談+(0120-279-889)
  • 配偶者暴力相談センター

DV相談ナビは、発信地の情報から最寄りの相談機関に電話が自動転送され相談できる機関です。相談時間は決められていますが、匿名で相談できます。

DV相談プラスは、365日24時間相談できる機関です。電話だけでなく、チャットやメールにも対応しています。

配偶者暴力相談センターは、相談機関の紹介、カウンセリング、被害者の安全確保など様々な支援が受けられます。

現在は身体的DVだけでなく、モラハラについても見地が広がり様々な支援が受けられます。夫婦間という閉ざされた場だからこそ、第三者に相談する勇気をもってみましょう。

職場でのモラハラ専門窓口

職場でのモラハラの場合は、以下の公的相談機関への連絡も検討してみましょう。

  • 総合労働相談コーナー
  • みんなの人権110番
  • 法テラス

総合労働相談コーナーとは、職場のトラブルに関する相談・情報提供をワンストップで行ってくれる機関です。各都道府県の労働局・労働基準監督署内に設置された窓口で、相談場所によっては女性相談員もいます。

みんなの人権110番とは、差別・虐待・ハラスメントといった人権問題の相談を受け付けている窓口です。相談は法務局職員・人権擁護委員が受けるため、秘密厳守となり安心して相談できます。

法テラスとは、様々な問題を法律の専門家に相談できる窓口です。

会社にモラハラについての相談窓口がなくても、公的な相談機関は多くあります。一人で抱え込むことなく、こうした機関を上手に利用していきましょう。

モラハラについての知識は、持っているほど自分に起こった場合どうすればよいかを考える指針になります。辛い現実と向き合うことは大変です。しかし今後にどんな影響があるのか、どうすればいいかを考え自分の行動を変えていきましょう

モラハラによる心の傷とは焦らず向き合おう

モラハラによる心の傷とは焦らず向き合おう

モラハラによるトラウマは、簡単に乗り越えられるものではありません。

しかし自分自身がそのトラウマと前向きに向き合うこと、そして具体的なトラウマの克服の方法を知ることで、少しずつ前進することができます。

現在はモラハラという概念も浸透し、相談できる場所、そして理解してくれる人も増えています。辛いことがあるなら、ぜひ一人で抱えて悩むことなく、誰かに頼り問題を解決することを目指してください。

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